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No.620(2021/3/15)
韓国で労働組合法など改正
~ILOの結社の自由など基本条約批准に向けて~

 韓国では1月5日に改正労働組合法などが公布された。今回の改正は ILOの第87号条約(結社の自由および団結権保護条約・1948年)などの基本条約の批准を準備するものである。法律の改正案は昨年12月の国会で成立したが、それまでの政府、国会での審議は賛否両論があり難航した。改正法は交付日の6か月後の今年7月5日から施行される。これにより、ILOの基本条約を批准するための国内法改正は一通りの整備がなされ、今後は国会での批准手続きが焦点となる。

 韓国では、ILOの基本条約について、労働組合が第87号条約などの批准を求めてきたが、経営側は労働法の改正などに難色を示し、これまで批准の手続きに入ることができなかった。この状況を動かしたものは2011年に締結された韓国とEU(欧州連合)のFTA(自由貿易協定)である。EU側はFTAの施行状況を検討するなかで、ILO条約批准に関する韓国の状況(ILOの基本8条約のうち4条約が未批准)に問題があるとして、2018年12月に労働問題に関する協議を求めた。

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は、2020年4月15日に行われた総選挙で定数300議席のうち180議席を獲得して圧勝し、30年ぶりに革新政党が単独過半数を占めた。ILOの第87号条約の批准は文氏の大統領選挙の公約でもあることから、同政権はEUからの提起を機に、労働組合法など関連する労働法制の改正に動き出した。

 しかし、韓国政府による労働組合法の改正案が示されると、労使ともに反対を表明し、政府の審議会での論議は難航した。経総(韓国経営者総協会)など使用者側は、経営側への配慮が労働協約の上限を現行の2年から3年に拡大するのみであるとして拒否の姿勢を示した。労働組合は改正案では不安定労働者や間接労働者が結社の自由の対象にならないとして反対を強めた。12月に国会前での座込み行動を行った韓国労働組合総連盟(FKTU)の金東萬(キム・ドンミョン)委員長は、1月5日のメッセージで「2021年を迎え我々は戦いを強める」と述べている。

 韓国では、今後、ILOの第87号条約などについて、国会での批准手続きが行われる。これまでの経緯からみて、審議では曲折も予想される。OECD加盟国である韓国でのILOの基本条約批准は、同国の国内問題にとどまらず、先進国入りをめざす途上国の課題でもあり、その動向が注目される。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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