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No.612(2020/11/30)
韓国最大企業労使、史上初の団体交渉、「労使共存」の結実を

 韓国最大企業かつ世界最大の総合家電、電子製品・部品メーカーは売上高23兆7千億円(2017)従業員30万人超を誇る。そして、この巨大企業にはかって50年間本格的労働組合は存在しなかった。その50年の歴史を覆し、昨年11月にナショナルセンター韓国労働組合総連盟(韓国労総)・全国金属労働組合連盟(金属労連)に加盟する本格的労働組合(第四組合)が結成された。
 昨年11月本格労組が結成された際、ハンギョレ新聞は次のように報じている。
「今年創立50周年を迎えたこの巨大企業は、50年経ってようやく本格労組が設立されたことを恥ずかしいことと受け入れなければならない。グローバル企業の中で労働者の正当な権利を否定するのはおそらくこの企業が唯一無二であろう」
 そして「企業はついに時代錯誤的な無労組経営を放棄する時を迎えた。労働組合を対話と協力のパートナーとして認め組合活動を保証しなければならない」としている。

 それからほぼ1年が経過し、この巨大企業初の団体交渉が今月3日に経営側と四労組共同交渉団との間で開催された。この記念すべき新たな労使関係を祝福し、同紙は11月4日、以下の社説を掲載した。

[社説]史上初の団体交渉、「労使共存」の結実を
 韓国最大企業の労使が3日、団体交渉を開始した。同企業の事業所に属する4つの労働組合の共同交渉団はこの日、会社側との初顔合わせを兼ねた第1回本交渉を行い、交渉のための基本原則と実務的な事案に合意した。共同交渉団は、同企業初の団体協約締結を目標にしている。会社側が実質的に団体交渉に応じたのは、同企業51年の歴史で、今回が初めてである。労使ともに信頼を守り、誠実に話し合いを続け、互いの共存の実が結ばれんことを願う。
 一企業の団体交渉に韓国社会の耳目が集中するのは、やはり同企業をはじめとするグループ全体が、創業以来最近まで「無労組経営」の方針を貫いてきたからだ。このような超憲法的な経営方針を維持するために、会社側はあらゆる無理な手段を動員してきた。これに立ち向かう労働者たちの激しい闘いと悲劇的な犠牲が続いたことは否めない事実だ。同企業の子会社の労働者が、労組弾圧に抗議して自ら命を絶った際、警察を不当に利用し故人の遺体を奪った出来事は、わずか6年前のことだ。
 同企業のイ・ジェヨン副会長は今年5月、国民向け謝罪文を発表し、無労組経営の撤回を約束したが、国民にはその本気度を疑う視線が少なからずあった。今回の団体交渉は、イ副会長の本気度を立証できるこの上ない機会だと考えられる。韓国を代表する企業かつ屈指のグローバル企業としての地位にふさわしく、労使関係をはじめとする企業文化を飛躍させる機会であることは言うまでもない。
 労組の責任も重い。労組活動を行う権利を勝ち取るために犠牲もいとわない人々がいなかったら、今回の団体交渉もなかったはずだ。彼らの献身を無駄にしてはならない。4つの労組はいずれも設立されてから1~2年しか経っておらず、組合員数は全部合わせても数百人にすぎない。10万人を超える同企業の労働者の絶対多数はまだ未組織の状態だ。今回の団体交渉で有意義な成果が出れば、組合員を増やすことに大いに役立つだろう。4つの労組が連帯し、すべての労働者をまとめる組織に成長してほしい。
 労使が心を一つにして共存の労使関係を築き、無労組時代より優れた成果を上げるとともに、韓国経済にもより大きく貢献してくれることを、国民は期待している。
(社説は以上)

 本労使交渉は3日、ソウルの韓国労働組合総連盟(韓国労総)の本部会館で開催された。このことからも現経営陣には過去の無組合経営とは一線を画する姿勢が伺える。
 人事担当副社長は「労使交渉は新しい労使関係を築く重要かつ意義のある時間である」とし「労使はパートナーであり、使用者側も交渉には誠実に臨む」と述べた旨、4日の中央日報が伝えている。

 組合側も意義ある交渉を積み重ね、従業員にこれを正確に伝え、着実に組合員を増やしていって欲しい。組織拡大こそが労働組合の力を向上させ真に対等な労使関係づくりに寄与する。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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