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No.610(2020/10/9)
コロナ危機下、韓国で労使がストなし賃金据え置きで合意

 韓国自動車産業協会による今年上半期(1~6月)の韓国自動車生産台数は前年同期比19.8%減の162.7万台とリーマン・ショック後の2009年上半期(155万台)以来の低水準となった。世界的な新型コロナ感染拡大の中、国内販売は増加したものの輸出が大きく減少したためである。こうした状況下8月13日に同国最大手自動車メーカーの労使は本年の賃金交渉を開始し、9月21日に暫定合意に達した。
 この間の動向を中央日報、聯合ニュースなどが伝えている。

(以下要旨)
 同社の労使は本年度の賃金交渉について9月21日、本年の基本給を維持し、経営成果給150%、加えて新型コロナ危機克服激励金120万ウォン(約11万円)を支給することで暫定合意したと発表した。同社の労使が基本給据え置きで合意したのは1998年の通貨危機、2009年のグローバル金融危機に続いて3度目で11年ぶりとなる。また、ストなしで賃上げ交渉合意に達したのは2年連続となる。
 世界的な新型コロナ感染拡大で自動車産業が危機に陥り、労使が従来の対決姿勢を改め、協力関係構築に努めたものとみられる。

 労使はまた「労使共同発展および労使関係変化のための社会的宣言」を採択した。宣言には▼国内工場の競争力確保と従業員の雇用安定▼電動化拡大など将来の自動車産業変化への対応▼産業変化に対応した職務転換プログラムの運営▼顧客・国民と共にある労使関係の実現などが盛り込まれた。

 業界関係者は「同社の労働組合は全国民主労働組合総連盟(民主労総)金属労働組合の中で最大組合であり、政治的な意味も大きい」とし「他の自動車産業労使も基本給を据え置く可能性が高い」と述べた。

 会社関係者は「新型コロナ危機と自動車産業の大転換期を迎え、生き残りのための合意案策定に努力した」とし「経営環境は厳しいが、労使が協力して危機を乗り越え、電動化や自動運転など未来型自動車時代のトップ走者に飛躍するために努力していく」と述べた。(要旨は以上)

 5月18日発行のメールマガジン(No596)「新型コロナショックが韓国自動車産業労使関係を変えるか」において、2020年初頭に発足した同社の労組新執行部が柔軟で合理的な立場を強調しつつあり、労使の雰囲気に変化が見られる、と報告したが、本年の賃金交渉においてもこのことが実証される形となった。
 世界的な新型コロナ感染拡大が続く中で、労使協力してこの危機を乗り越えるとともに、より一層健全な労使関係を発展させて欲しい。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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