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No.609(2020/10/9)
アメリカの労働市場、求人状況の改善続く

 米国の失業率は今年4月に14.7%と戦後最悪を記録したが、8月には8.4%(1,350万人)と急速な回復を見せている。こうした労働市場の回復状況について9月13日のウオールストリート・ジャーナル(WSJ)は以下のような社説を掲げた。

 労働省の報告によると、本年7月の求人数が660万人を数え、昨年12月と同水準に達したとされ、労働市場の回復が続いていることが明らかになった。
 注目すべきは7月の求人数が前月に比べ617,000名増加した一方、離職数が344,000名増加したことである。通常、離職数の増加は経済回復時に労働者の安心感が高まる時期に起きる現象で、実際、7月には離職数が解雇数を120万人上回った。特に小売業界では多数の販売店の破産にもかかわらず、離職数がレイオフを上回っている。その理由の一つがオンライン小売店やアマゾンなどの倉庫販売、DIYといったホームセンターの活発な求人活動にある。
 2月以降のDIY店の求人数は80,000名増加、一般小売店は199,000名増加で、賃金も増えており、2月以降の小売店の時間給は驚くことに年率10%増を記録した。時間給は5月と6月、従来の低賃金労働者を再雇用した時期には落ち込んだが、7月と8月には急上昇を見せている。

 失業者数は未だ求人数の2.5倍を数えるが、これは2008年のリーマンショックから5年を経過した2014年1月と同じ水準であり、小売り、宿泊、食事サービス、建設などの業界の求人率(雇用者+求人不足数に対する求人数)は昨年秋と同率を記録するまでになった。

 現状は7月期限切れとなったコロナ失業救済目的の週$600の連邦失業給付金により、失業給付が就業時賃金を超えたことで復職意欲を阻害している状況にあるが、期限切れに伴って復職数も増加傾向にある。連邦給付金は週$300に減額されたが、多くの労働者が失業保険で前職賃金よりも多くの収入を得る状態は続く。

 経済回復にとって労働力不足は強い逆風であり、特に急速な回復を見せている南部や西部の各州には影響が強い。全米独立企業連盟(NFIB)の調べでは、中小企業の3分の1が労働者不足にあり、特に良質の労働者が不足していると言われる。企業はギグ(超短期)の仕事でも喜んで提供する状況にある。

 以上がWSJの社説だが、こうした米国労働市場の状況と同時に、9月10日、「トランプ大統領は『コロナ・ワクチンの実用化もすぐ先だと思うが、ワクチンや治療薬の議論は抜きにしても、峠を越しつつあると言える』と発言した。
 これに対し9月11日、感染症対策の総合的研究を担う米国疾病予防管理センター(CDC)のファウチ所長は、640万人を超して増え続ける世界最悪の米国感染者数を念頭に、『大統領の発言に同意できない。感染者数は未だ峠を越していない』と警告」(以上CNN・Japan}を発した。コロナ災禍の影響を受ける労働市場の動向には依然として暗雲が漂う。

お知らせ

 国際労働財団の招へいプログラムでは、建設的労使関係構築の中での重要な要素のひとつである「生産性」についても取り上げており、公益財団法人日本生産性本部(JPC)から講師をお招きし、海外からの研修生に「生産性とは何か」という講義をしていただいております。
 今般、JPCが「生産性運動65周年記念大会」をオンラインで開催され、生産性だけでなく、労使関係に関するテーマも含めた基調討論会・分科会を視聴することができます。
 以下にJPCからの案内を載せますので、ご興味がおありの方は、説明に従ってぜひご参加ください。

「生産性運動65周年記念大会」のご案内

(公財)日本生産性本部では、10月26日・27日の2日間にわたり、「日本の改革とこれからの生産性運動~コロナ危機を超えて~」を総合テーマに、オンラインにて標記大会を開催いたします。デジタル化やポストコロナの模索が進む中、生産性という切り口から、今後の働き方や労使関係のあり方等を検討する機会にしていただきたくご案内申し上げます。

<概要>

■日時 2020年10月26日(月)13時00分~16時30分 基調討論
2020年10月27日(火)10時00分~16時40分 テーマ別分科会
■開催形式 オンライン開催(web開催)
■無料 ※プログラムの詳細、お申込みは、下記ホームージをご覧ください
https://www.jpc-net.jp/news/detail/20200916_004557.html
■問い合わせ先 公益財団法人日本生産性本部総務部「生産性運動65周年記念大会」事務局
電話:03-3511-4003、E-mail:65kinen@jpc-net.jp
発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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