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No.605(2020/7/15)
経済封鎖をしたアメリカ各州の雇用の状況

 6月21日のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は「早期に経済封鎖を解除した各州では雇用回復が早い」とする社説を掲げ、経済封鎖の早期解除を主張した。要旨は次の通り。

 労働省発表の5月の米国50州の失業率を見ると、厳しい経済封鎖をした州では失業率改善が遅れていることが示された。米国全体の失業率は13.3%だが、そのうち15%以上は10州。最悪はネバダ州の25.3%、ハワイ州22.6%、ミシガン州21.2%、カリフォルニア州とロードアイランド州、マサチューセッツ州16.3%、デラウェア州15.8%、イリノイ州とニュージャージー州15.2%、ワシントン州が15.1%である。

 ネバダ州とハワイ州は新型コロナウイルスの影響を強く受けた観光業に依存しているが、これらの10州は一様に厳しい経済封鎖も行った。ミシガン州は同地域のウィスコンシン州(12%)やインディアナ州(4月の17.5%から12.3%へ改善)に比較しても特に悪い。他方、最悪のニューヨーク州は前月の15.3%が5月には14.5%へとやや改善した。上記10州のうちマサチューセッツ州以外の9州は厳しい経済封鎖を支持する民主党が知事である。民主党の知事のなかで例外に失業率が低いのはコロラド州で、4月の12.2%が5月には10.2%に改善したが、同知事は早期の解除を決断している。

 失業率の低いのはジョージア州の9.7%、アーカンソー州9.5%、アリゾナ州8.9%、ユタ州8.5%、最低はネブラスカ州の5.2%であり(執筆者注:いずれも共和党の知事)、全面封鎖に抵抗して早期解除を実施した州である。

 この状況から推測できるのは2つの経済の姿である。封鎖解除の早い州ほど失業率が改善し経済損失が少ないこと、反対に病院と医療施設防衛という当初の目的を超えたコロナ対策を実施した各州では回復が遅いことだ。また、経済封鎖で感染や死亡が減少したかどうかも明らかでない。どの政策が最速の経済回復に繋がるのかの議論は続くが、最重要事項は国民を仕事に戻す決断である。(要旨は以上)

 以上が使用者側に立つことの多いWSJ 紙の社説だが、感染防止対策と経済・雇用のどちらも重要であることは間違いない。特に、6月29日時点で感染者が250万人、死亡者が12万5千人超、いずれも世界最多となった米国での感染防止は緊急を要する。「米疾病対策センター(CDC)の推定では実際の感染者が2千万人を超えた」(26日BBC NEWS)ともいわれる。前述の経済封鎖早期解除により失業率低下を抑えられた州では感染拡大が止まらず(28日BBC NEWS JAPAN)、また同様に早期に封鎖を解除したテキサス州では25日、新規感染者が6,000人、死者が47人発生し、再び経済封鎖を行っている。それらの対応をどう評価するにしても、WSJのような一流紙は強い影響力を持つため、慎重な対応を期待したい。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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