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No.600(2020/6/5)
韓国「新型コロナ危機」初の労使政会議を開催

 韓国の新型コロナ感染状況は5月22日現在感染者11,122人内91%が回復、死亡者264名であり、世界で最も対応に成功した国の一つとされている。その韓国で5月20日新型コロナウイルスによる経済危機克服のための「労使政代表者会議」が開かれた。

 その内容を5月21日付ハンギョレ新聞・電子版は次のように伝えている。(以下要旨)
 冒頭、チョン・セギュン首相は「韓国労働市場への影響は予測し難いほど重大だ」とし「国民の雇用と職場を守るためには、労使政の真剣な協力が絶対的に必要だ」と述べた。
会議には労働側から民主労総のキム・ミョンファン委員長、韓国労総のキム・ドンミョン委員長、経営側から韓国経営者総協会(経総)のソン・ギョンシク会長、大韓商工会議所(大韓商議)のパク・ヨンマン会長、政府からホン・ナムギ経済副首相兼企画財政部長官、イ・ジェガプ雇用労働部長官が出席した。
 民主労総のキム・ミョンファン委員長は「競争と利潤中心の社会 ・不平等な状況を継続するのか、労働者、庶民、中小企業が経済の主役として尊重され、成長と福祉を同時に実現する持続可能な韓国社会を創るのかを選択すべきだ」と主張。韓国労総のキム・ドンミョン委員長は「経済危機のたびに不平等が深まる。弱い立場のプラットフォーム労働、フリーランス、派遣・請負労働者等が最も深刻だ」と指摘した。
 一方、経総のソン・ギョンシク会長は「現在の最重要課題は、企業の生き残りを通じた雇用維持。労使は賃金と雇用の妥協を通じて互いに協力し、痛みを分かち合うべきだ」と述べた。「雇用の保障」のためには、賃金凍結等の労働側の譲歩が必要と婉曲的に強調した。大韓商議のパク・ヨンマン会長も「今回の危機の克服において、一方の譲歩や犠牲ではなく、互いの協力と痛みの分担を考えるべき。セーフティネットを通じて失業者を保護すべきで、企業の不渡りを防ぐ保護政策を政府が立案すれば、合意に至る可能性が高まる」と述べた。
 雇用維持と賃上げ自粛の規模と程度は、労使双方が厳しく対立する争点になると予想される。労働側の関係者は「労組指導部は賃金凍結に合意すれば、組職内で非難される覚悟をしなければならない状況であり、経営側は雇用維持を約束しつつ、それ以上の組合側の譲歩を最大限引き出そうとするだろう」との見通しを示した。
 今回の会議では「スピード」も重要なテーマとなった。韓国労総のキム・ドンミョン委員長は「遅くとも6月末に始まる次年度最低賃金の議論前には決着すべきだ」と提案した。首相室関係者は「危機の状況に際し雇用と職場を守るための労使政の役割、セーフティネットの拡充策などを至急検討する」と説明した。
(要旨は以上)

 日本においても経団連の中西宏明会長と連合の神津里季生会長が4月20日、新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、インターネットを通じたウェブ会議を開いた。労使双方で雇用維持を優先していく方針を確認するとともに、「共通の課題に直面している」(中西会長)とし、影響の長期化を見据えて、政策提言でも協力していくことも約束した。

 これまで国民の真剣な自粛と行動変容、企業活動自粛によって日本の新型コロナ感染も収束に向かっている。この5月末までには残された北海道、東京・神奈川・埼玉・千葉の緊急事態宣言も解除される見通しである。
 しかしながら、解除後国民の生活・企業活動が直ちに元に戻るわけではない。むしろ今後とも一定の自粛を伴う生活行動・企業活動と新しい生活様式の浸透、貿易・国際交流の大幅減等により、消費低迷の長期化、輸出の激減、企業収益の悪化が続き、国民の雇用と生活に重大な影響を及ぼすことは必至である。中小零細企業とそこに働く労働者、とりわけパート・アルバイト等非正規労働者、フリーランス等への影響は計り知れない。
 我が国においても緊急事態宣言解除後、速やかに政労使協議を開催し対応を図るべきである。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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