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No.599(2020/5/29)
インドのいくつかの州で労働法を一時停止、労働時間延長の動き

 インドのいくつかの州では、コロナウイルス対応を口実に労働条件を引き下げようとしている。多くの州で労働時間を1日12時間に増やし、労働法の適用を停止し、事業者へ免除を与えている、とインダストリオールはWEBを通じて報じている。

 グジャラート州、ウッタル・プラデーシュ州、マディヤ・プラデーシュ州、ヒマーチャル・プラデーシュ州などの州政府は、労働時間を1日12時間、週72時間に延長している。ウッタル・プラデーシュ州政府は5月6日の閣議で、労働組合、労使紛争、契約労働者を管理する38の労働法のうち35を停止した。 同州のすべての事業所は、3年間はすべての労働法の適用を免除される。

 大きな変更を行った州政府は、中央政府の与党でもある右翼のバラティヤ・ジャナタ党(BJP)に支配されている。労働法の激しい改悪は、立法議会や議会が開かれないなかで執行命令によって行われた。この改悪は労働の基本的な原則や労働者の権利を損ない、何十年にもわたる労働組合闘争で労働者の適正な利益を得てきたことを覆すものである。

 グジャラート州政府は新規産業を誘致するために、州内で新たに設立される産業については、最低賃金法、労働安全規則、従業員補償法の3つを除く労働関連法の適用を1200日間は免除するとしている。
 マディヤ・プラデーシュ州は、工場法、労使関係法、労使紛争法、労働契約法を含む様々な労働法の法的義務の免除を実現すべく、執行命令による改正で1,000 日間の適用除外を拡大する意向である。また、織物、皮革、セメント、鉄鋼、電気製品、電気、公共運送、エンジニアリング(自動車部門を含む)の11業種は、無期限に州労使関係法の適用を免除される。労働者数が50人未満の企業では検査が行われず、抜き打ち検査も行われない。
 ヒマーチャル・プラデーシュ州、ラジャスタン州、トリプラ州、パンジャブ州でも、労働時間を延長し、労働法の適用を免除している。

 中央労働組合代表は、5月1日の労働大臣との会合で、政府に対して以下の要求を行ったが、政府は応じなかった。

  • 労働時間を延長しないこと
  • 労働法の厳格な実施の維持
  • ロックダウン中に職を失った労働者への経済的支援
  • 出稼ぎ労働者への支援

 労働大臣は5月6日に使用者と会談したが、使用者の要求には、労使紛争法を緩和してロックダウン期間はレイオフとみなすこと、最低賃金・賞与・法定報酬などの規定を除き、今後2~3年間は労働法を停止すること、労働時間を1日 12 時間に引き上げることなどが含まれていた。

 これらの状況に対し、インダストリオール・グローバルユニオンのバルター・サンチェス書記長は次のように述べている。
 「私たちは、インドの州政府が労働時間を延長し、労働法を停止しようとしていることを強く非難する。労働者が新型コロナウイルスとの闘いの最前線にいることを忘れてはいけない。中央政府は、国際的に確立された人権や国際的な労働基準に反している過酷な労働法の変更を許すべきではない。州政府は反労働者の労働法改正を直ちに撤回すべきである。インダストリオール・グローバル・ユニオンは、労働者の権利を守るためにインドの労働組合運動と連帯している」

 中央労働組合と各連盟・協議会の共同プラットフォームは、労働法の改悪を断固として糾弾した。労働組合は近々全国的な行動を計画している。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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