バックナンバー

No.593(2020/4/30)
コロナウイルス不況がアジアの縫製業を直撃

 コロナウイルスによるロックダウン、そして需要の蒸発が世界の縫製業のサプライチェーンをになうアジア諸国に早くも影響している。衣料品の輸出額はアジアが世界の6割を占めており、その国の輸出総額に占める衣料品の割合が特に大きいバングラデシュ(80%)やカンボジア(70%)は非常に深刻だ。

 インダストリオールニュースはカンボジアの状況を以下のように報じている。
 公式の数値では、Covid-19の発生により91の縫製工場で生産が停止し、91,500人の縫製労働者が解雇された。4月7日、カンボジア政府は、一時的に解雇された縫製労働者に、当初「最低賃金月額190ドル(米ドル、以下同じ)の代わりに雇用者が40%、政府が20%負担して計114ドル支払う」としていたが、これを変更し月額70ドルしか支払えないと発表した。

 縫製労働組合によると、最低賃金190ドルから大幅に低い月額70ドルの補償では縫製労働者とその扶養家族は生き残ることができず、4月16日、カンボジアの縫製組合は、Covid-19の発生により操業を停止し、解雇された工場の労働者に、国際ブランド各社と製造業者がそれぞれ40%、政府が20%負担して最低賃金月額190ドルを補償することを提案している。

 インダストリオールグローバルユニオンに加盟しているカンボジアアパレル民主労働組合連盟(CCAWDU)の会長であるAthit Kongは「私たちは、縫製労働者をサポートするために国際ブランドが最低賃金の40%を支払うことで責任の一部を担うことを望む。製造業者が、カンボジアで長年にわたって得てきた利益を考えると、負担を40%に増やす必要がある。」と語っている。

 労働者運動協同組合(CUMW)の会長であるPav Sinaは「15の縫製工場が操業を停止し、8,000人のメンバーが一時的に解雇されたときに、1,180人のメンバーが職を失った。先月の賃金未払いに対して雇用主に抗議している」と語った。

 インダストリオール地域秘書であるアニー・アドビエントは、カンボジア政府がすべての労働組合と社会的対話を行うことを提案し、「危機的状況において、労働組合との全国レベルでの対話は、妥当な解決策を見つけるために不可欠だ」と言明した。

 インダストリオールニュースはバングラデシュについても以下のように報じている。

 Covid-19によるロックダウンの一環として、バングラデシュ政府は、あらゆる形態の輸送サービスを停止し、重要なサービスを除いて、公共および民間の施設を閉鎖した。最初の発表では4月4日までだったが、閉鎖は4月14日まで延長された。ほとんどが国内からの出稼ぎの衣服労働者の間でパニックを引き起こした。多くの人がダッカを離れ、故郷に到着した。国の首都からの心を痛めるような写真は、混雑したフェリー、トラック、その他の危険な移動手段で街を去る労働者を伝えている。

 4月5日、緊急時を除いて、誰もダッカへの出入りが許可されないことが発表され、ロックダウンの実施における事前調整の欠如は、混乱を引き起こした。多くの雇用主は労働者が賃金を受け取るためには仕事を続ける必要があると主張した。数千人の労働者が混雑した危険な交通手段を使用し、多くの人がグループで歩いてダッカ、ガジプール、ナラヤンガンジなどの地域で働いた。

 適切な安全対策なしに、何百もの工場がCovid-19の拡散のリスクを伴いながらも操業した。またいくつかの工場は、労働者が危険な通勤後、工場のゲートで4月14日まで閉鎖されていることを労働者に知らせ、賃金の支払い方法については知らせなかった。

 4月6日、混乱は賃金を要求する自発的な抗議行動で始まった。事前の通知なしに工場が閉鎖され、抗議している労働者のグループが、ダッカ-ミメンシン高速道路を封鎖した。そこで衝突が発生し、2人の労働者がトラックに押しつぶされた。

 インダストリオールバングラデシュ協議会のメンバーであるソミリート・ガーメント・スラミク連盟(SGSF)の会長ナズマ・アクターは次のように述べている。
 「バングラデシュの衣服労働者の大多数は不当に仕事を辞めさせられ、賃金は払われず、権利を要求する場合にはブラックリストに載せられると脅迫されている。一部の雇用主は、(いったんは解雇した)労働者が4月16日に仕事に戻れる場合のみ、支払う予定だと述べている。ロックダウンが延長され、賃金が支払われない場合、労働者の生計は危機に瀕しており、飢餓に直面している。来たるイード(断食明け)フェスティバルボーナスなど、懸命に稼いだ結果の特典も脅かされている。Covid-19のリスクがあるにもかかわらず労働者を強制的に働かせることは、直ちに止められなければならない。」

 インダストリオール書記長のヴァルター・サンチェスは次のように述べている。
 「国際ブランドとサプライヤーは、Covid-19に対するこの前例のない闘争で労働者が置き去りにされてはならないことを認識する必要がある。政府、ブランド、サプライヤーは労働組合と協力し、賃金が支払われ、労働者とその家族が封鎖によってもたらされる可能性のある経済的悪影響から保護されるよう行動を起こす必要がある。バングラデシュ政府は最近発表された経済的パッケージ85億ドルの中で労働者にも考慮すべきである。」

 インダストリオールバングラデシュ協議会(IBC)は4月8日に発表された声明で、次のように述べている。
 「3月の賃金はできるだけ早く支払わなければならない。現下の状況では、支払いはモバイルバンキングシステムを介して行われ、それを利用できない場合は4月16日までに現金で支払われるようにする必要がある。また、一時解雇、縮小、解雇は直ちにやめさせなければならない。政府、雇用主、IBCによる3者構成の委員会を設立し、すべての工場をロックダウン中に閉鎖する必要がある。」
 バングラデシュ縫製製造業者および輸出業者協会(BGMEA)によると、4月7日、3億5500万ドル相当の輸出用の既製衣料9億5300万個がキャンセルされた。このキャンセルにより、219万人以上の労働者が影響を受けている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
Copyright(C) JILAF All Rights Reserved.