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No.592(2020/4/30)
US郵便サービス公社にコロナによる深刻な財政危機、郵政民営化の嵐

 4月13日のボストン・グローブ紙は「US郵便サービス公社の財政危機を救わねばならない」との社説を掲げたが、要旨は以下のとおりである。

 US郵便サービス公社(USPS 63万人)はインターネット普及に加え、コロナウイルスによる郵便量の大幅な減少に見舞われ、これから10年間の累積赤字が540億ドル(6兆円)に達する状況の中、救済資金として議会に890億ドル(10兆円)を求めている。しかしながらトランプ政権はこれに否定的であり、また共和党議員にも反対が強い。政府は方針として郵政民営化を目指している。

 郵便行政が始まったのは1775年、国民一人一人に郵便が行き渡るようになり、自由な情報機能の基礎要件となった。それが近年、インターネットの普及で個人の手紙だけでなく、企業の請求書や支払いも電子化された。だが一方で、全戸配達の仕組みは未だ重要な意味を持ち、特に農村や山間部での必要性は高い。郵便労働者はオンラインによる医薬品や梱包品、行政の書類などを届けるほか、郵便による選挙投票も重要だ。しかし、コロナウイルスによる郵便物の激減により郵政が致命傷を負う可能性が強くなっている。企業広告も停止され、今年末には郵便量が60%下落すると見られている。

 これに対して、トランプ大統領は「郵政公社は数十億ドルの赤字を出しながら、アマゾンには原価以下で配達を受注し、納税者がそれを負担している」と述べ、アマゾン創立者であり、トランプに批判的なワシントン・ポスト紙の所有者であるジェフ・ベゾズ氏を非難するような発言を行った。

 反面、アメリカ郵便労働組合(APWU)のディモンドスタイン会長は「政府は郵便料金の値上げ、郵便労働者の賃金引下げ、サービス縮小による利益計上と民営化を迫っているが、今のCOVIDの危機を政治目的に利用するべきでない」と反論している。
数百万の米国人が在宅勤務で郵便物に依存している中で、トランプ政権は郵政公社救済に拒否権を発動しようとしている。議会はこれに反対し、大統領の無謀な方針に責任を持たせなければならない。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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