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No.591(2020/4/30)
都市封鎖による経済の崩壊が来る

 4月3日のウォールストリート・ジャーナルは「政府のコロナ対策により数百万の労働者が職を失う」として経済封鎖批判の社説を掲げた。その要旨は以下のとおりである。

 米国民は新型コロナウイルスによる人的被害に理解を示しながらも、政府の全国的な経済封鎖から来る打撃に怒りを感じている。その点について本紙は株式市場の事ではなく、雇用喪失や家計収入の減少による人的被害、企業の破壊、国民への精神的打撃を取り上げたい。

 労働省統計局による3月の失業は701,000名を記録したが、これはリーマン・ショック最終時の2009年3月の800,000名に次ぐ数字であり、しかも今回は始まったばかりの時期のものである。失業率は先月の3.5%から4.4%へと0.9%急上昇したが、これも1975年以来の事である。都市封鎖や外出禁止令は3月中旬に始まったばかりだ。4月の失業率はさらに悪化し失業率は間もなく10%を超し、そのまま経済封鎖が続くとすると、5月以降は1930年台以来の最悪を示すことが予測される。

 被害を最悪の形で受けるのは、過去2年間ようやく職にありつけた非熟練、ブルーカラーの労働者だ。今年2月までの堅調な消費需要と各企業の明るい見通し、米中貿易の改善期待で推移した状況が、政府のコロナ対策で逆転した。在宅で働ける労働者が数千万人存在する一方、建設では4月に29,000人減、小売46,000人減、教育と医療では61,000人減などが報告されている。

 政府は2.2兆ドルの救済援助法案で事態をしのぎつつ、外出禁止などで感染を防ぎながら今年後半には急速な景気回復に取り組むとしているが、本紙もそうなってほしいと願い、ワクチンや治療薬に願いを託す気持ちだ。しかし、懸念するのは「近代経済を金槌で叩くような政策の長期的被害を軽く見てはいないか」という疑念である。政府救済資金で、失われた製品は戻ってこない。倒産企業や失業も戻らないであろう。トランプ大統領は当面医療対策を中心に4月を乗り切ろうとしているが、明かりが見えるのが5月か6月か、わからない。わかっているのはカリフォルニアやニューヨークで感染が沈静化しても、潜伏コロナの波が今年秋には再来する事だ。政府にその対策があるようにも見えない。特にトランプ大統領が「4月12日の感謝祭までには国は正常に戻る」と突然に即答した状態ではなおさらだ。彼には慎重な考慮が必要であり、国民は丁寧な説明を求めている。

 人道主義のビル・ゲイツが「全米は少なくとも10週間休業すべき」と、経済被害や各種犠牲を軽視する発言を行い、多くの主要メディアも賛同しているが、10週間後に何が残されているのであろうか?
誰にも答えはない。ただ、政府がV字回復を語り草にしている限りは混乱が続く。国民が必要とし、失業労働者が要求しているのはもっと持続可能なウイルス対策であり、生命救済と同時に政府が押し付けた人工呼吸器を国民経済から引き離すものである。

(訳者註)外出禁止などによる都市封鎖についての罰則が徐々に強まっている。ニューヨークでは特に検疫を無視する人への罰金が定められたが、1日につき200ドル~2,000ドルとされている。カリフォルニアでも外出違反者の逮捕、罰金が検討されている。カナダ・バンクーバーでは2メートルのソーシャル・ディスタンシング違反に1人$1,000の罰金となっている。オレゴン州では1人1,250ドルの罰金かつ/または30日の拘留などとなっている。
 更に4月に入ってからの失業手当申請総数が2,200万名を超えたことが報告され、全米労働者5人に一人が仕事の出来ない深刻な事態である。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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