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No.590(2020/4/20)
コロナウイルスと闘うイタリアの郵便労働者

コロナウイルス:イタリアの状況
 イタリアで、コロナウイルスの最初の患者が見つかったのは1月29日、翌日には6ヵ月間の緊急事態宣言が発令され、中国からのフライト乗り入れが中止された。しかしそれにも関わらず、現在の感染者数は14万3,626人と米国、スペインに次いで多く、死者数は1万8,279人と世界最多となっている。(ロイター4月9日)「集団感染は1月初めに広がっていた」というのが現在の見立てだ。2月23日に多くの感染者が出現し、イタリア政府は北イタリアの11の地方自治体を閉鎖した。3月1日感染者数は1,577人に上り、死亡者数も急増、ロンバルディア州の致死率は8%になろうとしていた。医療への負荷が急激に高まった。(WEIRED.JP4月7日号)このような状況下で、医療労働者、スーパーの店員、郵便局員といった職業の人々がコロナウイルスで倒れた。郵便局を例にとると、3月13日、3月18日で二人が亡くなり、その後3月23日、3月24日でさらに二人が亡くなった。全員北部地方で仕事をしていた人々だ。

労使でコロナウイルスと闘う
 労使はこの事態の進展に手をこまねいて観ていたわけではない。2020年3月14日、政府とナショナルセンターは、職場におけるコロナウイルスの広がりを憂慮し、それと闘い、抑える手段を見つけ、実施する上で協力するプロトコールに署名した。ポステ・イタリア—ネでは、3月初旬から企業コミュニケーションとして、コロナウイルス対策が会社側から組合に説明されている。例えば、3月10日CGIL系のSLC、CISL系のSLP、UIL系(注)の郵便部会など6労組の代表が招かれ、危機管理委員会は開催された。そこでは、顧客と触れる可能性のあるすべての職員にマスクの配布、配達局に消毒ジェルの配布、社会的距離を取るためのラインを郵便局の前におくこと(顧客は1mずつ間隔をあけて、前の客が退出したら次の客が入局する)、郵便配達員の社会的距離確保、車両に消毒器の設置、全国の1万2,800局で午前中のみのシフトで運営、積極的な勧誘活動の中止などの説明があった。(危機管理委員会議事録3月10日)以降週1回のペースで、危機管理委員会は開催されている。ポステ・イタリア—ネにはこの危機管理委員会とは別に、職場ごとに安全衛生委員会(OPN)がある。日本と同様職場で労使双方の代表が安全衛生問題を話し合うシステムだ。危機管理委員会と安全衛生委員会が補完しあって、コロナウイルスに対応している。

配達を維持するか否か:欧州の状況
 ポステ・イタリア—ネには組合は複数ある。すでに述べた6組合は、危機管理委員会に入り、労使対話を中心にして運動を進めている。彼らは郵便局の社会的意味を理解し、週6日配達を維持することを前提に方針を立てているが、そうでない組合もある。例えば、コバスという組合だが、全ての郵便局の業務を3週間止めることを要求している。(ローマトゥデイ3月20号)
 現在欧州の郵便事業の労働組合を見ると、コロナ対策で時期を決めて郵便局を全面的にストップすることを要求する組合と、衛生対策をしっかりさせて週5日〜6日配達を維持する組合とに分かれている。これを受けて、各国の郵便局の方針も分かれている。フランスやスペインが郵便の配達をぎりぎりまで縮小し、英国、ドイツ、イタリアは郵便を通常通り配達していると言う。(ファイナンシャルタイムズ4月1日号)いずれにしても、コロナ危機により実際に組合員が亡くなる中、組合としても重い決断を強いられている。

(注) CGIL:イタリア総同盟
SLC:通信労組。CGILに属する12産業別労働組合の一つ
CISL:イタリア労働組合同盟
SLP:郵便労組。CISLに属する18産業別労働組合の一つ
UIL:イタリア労働組合連盟

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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