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No.584(2020/3/6)
低迷が長期化するドイツの自動車産業、雇用の確保が焦点

 ドイツの主要産業と言えば、自動車。フォルクスワーゲンは2016~2018年、3年連続で世界ナンバーワンの販売台数を誇る。ほかに、ベンツ・BMW・ボッシュなど世界的に名だたる自動車、同部品メーカーが連なる。

 しかしここ数年、海外依存の高さと主要輸出先である中国・欧州の景気減速がドイツ国内での自動車生産の減少をもたらしている。2015年603万台だった国内生産は3年連続で減少し2018年には512万台までに落ち込んでいる。

 この先も、海外需要の低迷、排ガス規制の強化、部品点数の少ない電気自動車の台頭等が予想される中で、生産低迷の長期化により雇用の不安定化・賃金への悪影響が懸念されている。

 こうした中、2月18日付ロイターは苦境に立つドイツ自動車産業における労使の取り組みを次のように紹介している。

(要旨)
 業界団体のドイツ自動車工業会(VDA)によればドイツの自動車産業は今後10年間で83万人の雇用のうち10分の1近くを削減すると見られている。

 こうしたなか、自動車メーカーと労働組合はこの1月「ドイツ政府は賃金補助金を最大24ヶ月まで延長できるよう操業短縮制度(Kurzarbeit)と呼ばれる国家支援制度や電気自動車用部品製造など新たなスキルの再研修の拡大を求める共同声明を発表した。

 ドイツ政府は来月、より弾力的な操業短縮制度を承認すると見られている。
現在この制度では企業は強制レイオフを回避し、最長12ヵ月まで熟練労働者の雇用を維持するために、国家支援を申請することができる。

 ボッシュの工場では、経営陣(management)と労働者代表委員会(注1)(works council)との間で、全7000名の労働者が2020年4月以降、労働時間の短縮と10%近い賃金引き下げを受け入れることを条件に、2026年までの強制レイオフを回避するとの協定が締結された。

 タイヤメーカーのミシュラン・バンベルグ工場は来年閉鎖が予定されているが、労働者代表委員会の会長は「2022年までの強制レイオフを禁じたこれまでの協定から企業側は離脱できない」ことを経営側に理解させようと努力している。
(以上)

 世界の自動車産業を取り巻く環境は、保護主義の台頭、環境保護へのより厳しい対応、さらにはCASE、MaaS(注2)への取り組みなど、劇的に変化しつつあり百年に一度の大変革期を迎えているとも言われている。

 ドイツの自動車産業の置かれた状況は決して対岸の火事ではない。日本の自動車産業労使もこうした変化を踏まえ、働く者の雇用と生活を守るためにお互い切磋琢磨し、一層知恵を出し合い厳しい環境を乗り切って欲しい。

(注1)
参 考:欧州のworks councilは経営代表と労働代表が協議する「労使協議会」の意味で用いられることもあるが、今回の場合明らかに労働者側の委員会であるため「労働者代表委員会」とした。
(注2)
CASE :Connected(インターネットとの常時接続)
Autonomous(自動運転)
Shared(ライドシェア)
Electric(電動化)
MaaS :Mobility as a Service(サービスとしての移動)
バス、電車、タクシーからライドシェア、シェアサイクルといったあらゆる公共交通機関を、ITを用いてシームレスに結びつけ、人々が効率よく、かつ便利に使えるようにするシステムのこと
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調査実施期間:2020年2月10日(月)〜3月7日(金)

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