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No.567(2019/10/11)
UAWにまた問題

 9月3日のウォールストリート・ジャーナル紙は標題の社説(Editorial opinion)を掲げ、UAW(全米自動車労組)を糾弾した。その要旨は以下の通りである。

 先週FBIがUAWジョーンズ会長、および前会長の自宅を家宅捜索した。この件は刑事起訴には至っていないが、すでに有罪確定の数件に加えて事件の拡大を示唆するものである。従来の事件は、検察の言う、汚職まみれの企業風土のフィアット・クライスラー社(FCA)におけるもので、労働者への職業訓練費用が贅沢なパーティーやステーキ・ハウス、2,000ドルのイタリー製猟銃などに使われた。先月にはUAWのジュエル前副会長が15ヵ月の有罪判決を受け、昨年にはFCAのUAW交渉担当、アイアコベリ前副会長が5年半の有罪判決を受けたが、何れも労組幹部を肥らせ、黙らせ、ハッピーにさせるための事件だった。

 調査は拡大している。3週間前にGM訓練センターを退職したグライムUAW前役員が協約交渉でのキックバックによる収賄容疑で起訴されたが、他にも2名の関与が疑われている。
 UAW会長宅捜査の際に、UAWは「捜査に協力し、会長は自分自身のことも含めて如何なる不正をも摘発する覚悟だ」と声明したが、悪いことに、捜査は9月14日期限切れのビッグ3との労使交渉開始の直前に起きた。なお、3社ともスト権が承認されている。

 事件がUAWトップに及んだことで、UAWが連邦監察下に置かれる可能性もある。1989年、同様のことがチームスター労組で起きて、財務記録の連邦監査が義務付けられたが、2015年に解除されている。

 こうした事態にあって、労組未加入の労働者がUAW加入を拒否するのも無理はない。去る6月のVW工場の2回目組織化が833対776で否決されたが、1回目の712対626と余り変わらないものであった。同様に日産キャントン工場では2,244対1,307でUAWの組織化が否決されている。

 UAWの最近の成功例としてはコロンビア大学の助手の組織化、カエサル・パレスのカード・ディーラーの組合加入があるが、伝統部分の組合員減少は止められず、2018年の組合員数は2017年から8%減少の396,000名に落ち込んだ。汚職問題に人を引き付ける力はない。
 以上がウォールストリート・ジャーナル紙の社説だが、検察によると、フィアット・クライスラーが汚職の温床だと指摘している。UAWになぜ自浄作用が働かないのかが厳しく問われなければならない。贈収賄や資金の不正使用、不公正な依怙贔屓などの不正義は全ての企業や組織に存在しうる問題だが、他方どの職場にもこうした不正行為を憎む人々も存在する。検察に摘発される遥か以前に、労使が協議して情報を汲み上げ通告者を守る体制作りが必要だが、現行のGMとの労使交渉事項に、この緊急課題へのUAWの対処が見えないのはどうした事であろうか?

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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