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No.564(2019/10/1)
労使関係の改善進む? 現代自動車労組のストなし妥結と韓国GM労組のスト決行

 韓国自動車最大手、現代自動車労使は、8年ぶりにストライキを実施することなく賃上げ妥結に至ったと9月3日聯合ニュース(日本語版)が伝えた。

 強硬路線で知られる韓国の自動車労組だが、この間若干の変化がみられる。先に報じた通り、ルノー・サムスン労組は1年に及ぶ賃金交渉、その間昨年10月以降時限ストが繰り返されてきた。しかし本年6月団体交渉が物別れに終わった後、執行部が全面ストを宣言したものの、長引く闘争を疑問視する組合員がこれを拒否しストライキが不発に終わるという事件が起きた。この事件から3週間後、労使の話し合いが進み6月24日にようやく賃金交渉が決着し、併せてノーワーク・ノーペイの原則順守と模範的労使関係構築の宣言を発表した。

 こうした中、現代自動車労使の動向を9月3日付の聯合ニュースは次のように伝えている。
(要旨)
 現代自動車労使は本年5月30日に賃金引き上げに関する団体交渉を開始し8月27日に暫定合意に達していた。組合はこの暫定合意案を9月3日全組合員に対し賛否を問う投票を実施し、賛成多数で可決したと発表した。
 合意案は基本給4万ウォン(約3,500円)以上の引き上げ、成果給150%プラス300万ウォン(約26万円強)支給等となっている。現代の労使交渉がストライキの実施なしで完全妥結するのは8年ぶり。また同紙はスト見送りの理由として、日本政府が安全保障を理由に輸出管理の優遇対象国から韓国を除外し、韓国はその対抗措置を講じるなど、両国の経済関係は深刻な事態に陥っており、韓国経済への影響を懸念する世論を労組も考慮したものとしている。(以上)

 一方9月4日付中央日報日本語版は、韓国GM労組は賃金引き上げなどを要求し8月20日から部分ストを実施しており9日からは全面ストに出る計画である旨を伝えている。
 同紙はこうした労組の動きに対し8月21・22日に訪韓したGM海外事業部門のジュリアン・ブリセット代表は組合に対し「今年の賃金交渉と関連した状況が毎週GM本社経営陣に報告されている。最近GMが北米地域の工場を閉鎖している現実を韓国GM労組も直視しなければならない」と警告したと報じている。

 現代労組のスト見送りの理由、あるいは韓国GM労組の動きを見ると、必ずしも韓国自動車労組の労使関係改善が着実に前進していると見るのは早計かもしれない。

 しかしながら、2018年の韓国国内の自動車生産台数は前年比2.1%減の403万台と3年連続減少しており、2019年も生命線である400万台を死守できるか否か厳しい見通しとなっている。
 こうした中、本年1月には韓国自動車産業の高コスト体質を是正し、競争力を高めたい業界と失業・雇用創出に苦しむ自治体との利害が一致し、企業と地域の新たな共生モデルを目指して光州市・現代自動車が「新工場」の設立に合意し、これには韓国労働組合総連盟の光州支部が参画するという動きも出ている。

 こうした産業を取り巻く環境の変化に加え、一向に改善の兆しが見えない日韓関係、米中貿易戦争の熾烈化も韓国経済に深刻な打撃を与えつつある。
 今こそ韓国の産業労使はこうした危機を乗り越えるためにも、対立すべきは対立し、協力すべきは協力するという是々非々の健全な関係を構築するべき時が来ていると捉えるべきだと思う。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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