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No.556(2019/8/23)
全国労組生産性会議、結成60周年
~東京で記念式典とシンポジウムを開催~
全労生60周年記念シンポジウム
ILO創設100周年・東京シンポジウム

 全国労組生産性会議(議長:野中孝泰電機連合委員長/略称「全労生」)は、今年、結成から60周年を迎えた。8月2日に東京都内のホテルで記念の式典とシンポジウムが開催され、加盟する産業別労組、地方組織、各界の代表など約800人が参加した。記念式典では、労働運動の立場から「60周年という節目を迎え生産性運動の新たなスタートを」と呼びかける「結成60周年宣言」が発表された。

 全労生は、日本の労使関係の根幹である「生産性三原則」を柱とする生産性運動を推進する組織として、その理念を共有する産業別労組により、1959年に発足した。それ以来、生産性運動の普及を促進し、産業労働に関する調査研究をすすめてきた。今日では連合の民間労働組合の多くが参加しており、加盟する産業別労働組合の数は26、全体の組織人員は約550万人である。

 記念式典では、まず、全労生の野中議長が挨拶、「わが国は人口減少、超少子・高齢化社会に突入しており、持続可能な社会を築くうえで生産性向上は不可欠である。生産性三原則の意義を社会全体で共有する必要があり、従来にも増して活動を力強く推進していく」と述べた。ここでいう「生産性三原則」とは、生産性の向上に関して、①雇用を維持・拡大すること、②労使の協力と協議を行うこと、③その成果は公平に分配することという労使の基本的な合意である。

 記念シンポジウムでは、まず「変わりゆく仕事と人材の未来像」と題する基調講演が、中央労働委員会の元会長である諏訪康雄・法政大学名誉教授から行われた。続いて、「いま求められる生産性向上の新たな推進と人への投資」をテーマとするパネルディスカションに入った。モデレーターは、ILO百周年記念「仕事の未来世界委員会」の日本代表委員である清家篤・前慶応大学塾長である。パネラーは全労生の野中議長、第一生命研究所チーフエコノミストの熊野英生氏、中央大学経済学部の鬼丸朋子氏であった。

 記念式典では「結成60周年記念宣言」が全労生の久保直幸事務局長から発表された。この宣言は、日本社会の持続可能性への危機への対応や第四次産業革命など新しい社会的課題への挑戦を強く意識したものである。そのため、生産性三原則を正しく理解し、時代の変化を勘案したものとして再確認するよう提唱している。同時に、調査研究の活動を重視してきたこれまでの活動を転換し、「今後は労働運動としての取り組みを強化し、政労使の社会対話やステークホルダーとの対話を通じて日本社会の生産性向上を実現する」としている。

 今回の記念式典やシンポジウムでは、指導者や講師から、ヨーロッパ生産性本部のローマ会議報告書(1959年)にあるつぎの言葉が紹介された。「生産性とは何よりも現存するものの進歩、あるいは不断の改善をめざす精神状態である。それは今日は昨日より良くなし得るという確信であり、さらに、明日は今日に優るという確信である」。日本の社会が大きな転換期にあるいま、全労生60周年の会合は、日本の労働組合による生産性運動が新しいステージに入ったことを示すものといえよう。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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