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No.554(2019/8/2)
発展途上国の児童労働を如何に終わらせられるか

 7月3日のワシントン・ポストは「西アフリカ諸国政府が農家収入の増加のために、ココア価格の値上げを計画」と報道したが、国際開発援助・人権団体Action Aid USAのイマニ・カウンテス副会長がこの報道に関連して標記の寄稿を寄せ、これを同紙が社説(Editorial opinion)として掲載した。

 ガーナやアイボリー・コースト、リベリアなどの西アフリカ諸国政府がココア価格の値上げで農家収入を増加させ、児童労働の撲滅を図ろうとしているが、減少はできても撲滅はできないだろう。そもそも政府の介入自体が必要なのか、その他の対策が必要なのかが再検討されねばならない。

 西アフリカのリベリアでは児童労働が農業部門全般に広がっている。それでも、10年以上前に最悪な形態の児童労働が大手企業系列のゴム農園で撲滅することが出来た。それは労働組合が労使交渉により労働条件を決め、強制的な生産割当を廃止させて、女性や児童の無賃労働を中止、児童労働の撲滅を特記したことによる。積極的な労使での取り組みと労働省、国際組織の関与でゴム農園からの児童労働が撲滅できた。ここでは小規模農家や女性団体、それに政府機関も協力した。多くの発展途上国における児童労働撲滅の参考になると思う。

 以上が社説の要旨だが、7月3日の報道は「ネッスルやハーシーなど主要チョコレート各社は20年前から児童労働によるココア購入を拒否し、農家収入の増加にも協力してきたといわれるが、児童労働は無くならない。石油やコーヒー、錫(すず)と同様の生産カルテルも検討されたが、農家の貧困のために森林伐採までしてココア増産が続いている。政府値上げがどれほど農家に還元されるのか、国立公園にまで広がった森林伐採を抑えられるのか、値上げが更に生産競争を呼ぶことはないのか、不明である。ガーナでは政府が価格を決めてそれ以上の価格で輸出業者に販売、アイボリー・コーストでは重い輸出税が課される。政府値上げは10%程度と言われるが、それで十分なのか?
 チョコレート会社の中には40%値上げに応じたところもあるといわれるが、児童労働はなくならない。」と指摘している。

 上記のケースは大手企業であっただけに労働組合を主体とする労使の対応が比較的容易に成し得たと思われる。発展途上国の貧困は底が深く、問題の大きさに計り知れないものがあるが、それでも児童労働問題は次世代を担う子供たちの教育機会の確保を重点に撲滅されなければならない。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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