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No.551(2019/7/12)
ルノーサムスン自動車、労使関係健全化への一歩を踏み出す

 先に、強硬路線で有名な韓国自動車産業労働組合、その路線に変化が訪れるかもしれないと伝えたが、健全化への取り組みが具体的に始まったようだ。

 昨年6月から、一年におよぶルノーサムスン自動車(以下、「ルノーサムスン」)の賃金交渉において、本年6月5日に行われた団体交渉が物別れに終わり、同日組合側は全面スト突入を宣言したものの、長引く闘争に反対する組合員たちが製造ラインに戻り、ストライキは不調に終わった。
 この出来事から3週間余りが経過したが、この間ついに賃金交渉が決着し、労使関係改善への話し合いも進み、合意が図られたようだ。韓国・中央日報日本語電子版が6月25日次のように伝えている。

(要旨)
 ルノーサムスン労使はノーワークノーペイの原則順守と模範的労使関係を構築する内容の宣言文を発表した。

 ルノーサムスン労使は、6月24日に釜山工場で今年の賃金に関する団体交渉の調印式を行った。
 この日合わせてルノーサムスン労使は法と原則を順守し、労使協力して雇用安定を成し遂げる旨の「労使共生共同宣言文」を発表した。

 ノーワークノーペイの原則は、スト期間中に会社が労働者に賃金を支払わない原則を意味する。これは「労働組合および労働関係調整法」第44条に「使用者は、争議行為に参加し、労働を提供しない労働者に対しては、その期間中の賃金を支払う義務がない」とした法律に従ったものだ。

 しかし、自動車業界ではこうした原則が守られないケースもあった。ストが終わってから会社側が「激励金」名目で賃金や手当ての一部を補填する慣行が存在したためだ。業界関係者は「ノーワークノーペイの原則は法律にも明示された事案。賃金団体交渉合意後に会社側から成果給や一時妥結金名目で賃金の一部を支給するケースがたびたびあった。」と説明した。
 今後労働組合の無分別なストにもブレーキがかかるという見方も出ている。ソウル市立大学経営学科のユン・チャンヒョン教授は「強硬一辺倒で一貫した労働組合に警戒心を刻む事件であり、今後は対話を重視する穏健な交渉政策が組合員の支持を得る可能性がある。」と説明した。(以上)

 日本ではストライキ中の賃金は補償されない「ノーワークノーペイ原則」が一般的であるのに対し、韓国では必ずしもそうではなかったようだ。こうした慣行が労働組合の行動の過激化、ストライキの多発を助長した面も否めないであろう。
 企業も労働組合もその社会的責任を自覚し、コンプライアンスに真摯に取り組むことが何より重要であることを物語っている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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