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No.550(2019/7/9)
マクドナルド店で横行するセクハラ、フォックス・ニュースでも

 6月4日のワシントン・ポスト紙は社説(Editorial opinion)でマクドナルド店におけるセクハラ問題を取り上げた。記事はフォックス・ニュースを同様の理由で退社したニュース・キャスターのグレチェン・カールソン記者が執筆したが、要旨は以下の通りである。

 #MeToo問題の取材を通じて知ったことだが、世界100ヵ国のマクドナルド・フランチャイズ14,000店で、家計を支えて働く多くの女性へのセクハラ問題が深刻化している。
 ルイジアナの21歳の女性は、化粧室で同僚男性に暴行されそうになった時、彼を呼びに来た人に救われた。しかし他の同僚からあらぬ暴言を受け、使用者に訴えたが何の対処もなかった。西海岸のある町では20歳代の女性が同僚男性から1,000ドルで不適切な行為を強要され、使用者に訴えたが、清掃業務に仕事を替えられたうえ、減給された。
 カンサスの23歳の黒人女性は同僚から“チョコレート”とあだ名されて度々肌を触られ、使用者に訴えたが、勤務時間を減らされて、退職する羽目になった。

 これら女性はその後15ドル運動の活動家となり、先月には全米13都市におけるセクハラ、女性差別反対のデモ行進に参加した。デモ行進には民主党のサンダース氏など数名の大統領候補をはじめ各種団体が参加してマクドナルドのセクハラ問題を訴えた。これに対し同社イースターブルックCEOは書簡で「従業員の声を聴き、セクハラ撲滅に取り組む」と約束した。

 マクドナルド労働者の問題は私自身がフォックス・ニュース社で経験したセクハラと報復行為に全面的に共通するものがある。私の場合は情報手段を使って広く訴える方法があるが、それでもセクハラを防ぐことはできない。またその話をすること自体が苦痛である。
それでも、私達が立ち上がることで、自分自身を守るだけでなく、セクハラを生む社会システムの土台を変えることが出来る。

 マクドナルド社は事件がフランチャイズで起きたことで、本社には責任がないと主張したが、全国労働関係委員会(NLRB)は本社の責任にも言及した。株主や行政もフランチャイズ使用者への教育に、食品安全だけでなく労働者の安全問題が取り上げられることを期待する。セクハラと報復行為は法律違反の犯罪である。マクドナルド本社に直接的な刑事責任がないとしても道義的責任がある。労働者、ジャーナリスト、消費者はマクドナルドへの監視を怠ってはならない。同様のことが産業界全体にも言える。
以上が社説の要旨だが、フランチャイズ店のような小規模職場では通常、戦力としての男性社員の比率が高く、女性の苦情は不問にされ、泣き寝入りさせられる傾向が強いと言える。
そのようなことも踏まえ、あらゆる職場において使用者による従業員への日常の教育と監督責任が強く問われねばならない。

 司法と行政の対応はもとより、労働組合には非組合員の一般労働者にも開放された気軽な相談窓口設置、そしてその積極的なPRなどの取り組みが求められる。筆者が日常唱える労働組合の非組合員、一般労働者へのサービスの拡大である。
 なお、フォックス・ニュース社はメディア業界の巨人、ルパート・マードック氏により1996年に創設された保守系テレビ局で、共和党やトランプ大統領支持を鮮明にしている。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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