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No.538(2019/4/19)
ハラスメントと不当解雇に対し闘うバングラデシュの被服労働者

 3月29日バングラデシュ全国被服製造労組連盟(NGWF)は、105の工場の1万1000人に上る被解雇労働者の職場復帰に向けた採用にあたって、4つ要求を掲げ、その完全実施を求めダッカで集会を開会した。

 要求は、一つ目に、3,000人以上の労働者に対するでっち上げ処分の撤回。二つ目に、105工場で解雇された1万1000人以上の労働者の再雇用。三つ目に、ブラックリストに載せられた活動家に対するハラスメントを止めること。4つ目に、新しく決定された賃金制度を全工場で完全に実施することである。

 この取り組みに対し、「労働者はハラスメント、抑圧、単に公正な賃金と安全な職を求めただけの労働者をブラックリストに載せるといったことを許してはならない。我々はNGWFの労働者を尊重せよという主張を全面的に支持する」とUNI商業部会担当局長のマティアス・ボルトンは言う。(以上、UNIウェブサイト)

 この日の集会とデモは平穏に終わったが、実は前史がある。今年1月8日被服労働者は賃上げを求めてダッカ郊外で集会とデモを行ったが、これに対し警官がゴム弾と催涙ガスを発射し、1名が死亡、50人が重軽傷を負うという事態が発生した。また、翌日ダッカ郊外の町サバールの主要幹線道路を占拠した1万名の労働者を解散させるため放水車が出動するという事態が起こった。一連の抗議行動は、バングラデシュ労働者の悲惨な実態を反映している。

 バングラデシュは、日本の4分の1程度の国土に1億6175万人が住み、労働賃金も安い。現在でも経験のある被服労働者でさえ最低賃金は月額95ドルであり、未経験の労働者の賃金はそれを下回ると言われている。1990年代から欧米アパレルメーカーに注目され、「チャイナプラスワン」として生産に力を入れ始めた。勿論土台はあった。19世紀から英国植民地としてニット製品を英国に輸出していたのである。英国では良いニット生地の産地として東パキスタンは知られていた。そのため英語を喋る労働者も比較的集めやすいという基盤が出来ていた。現在のバングラデシュの輸出産業別シェアを見ると、ニットウェアが46.8%、ニットを除く既製品が36.2%、革製品が3.7%とこれだけで全輸出の80%を超えており、圧倒的に被服産業が占めていることが分かる。(外務省ウェブサイト)日本への輸出も同じ傾向であり、多くの日本企業が進出している。2008年にはユニクロも現地生産を開始した。被服生産によりバングラデシュ経済は7.24%というGDPの伸び率を誇っているわけで、その重要性を理解できよう。

 このようななかで起こったのが2013年4月ラナプラザ倒壊事故であった。5つの工場が入り、3千人が働くラナプラザは、前日から建物に亀裂が走っていると指摘され、警察から操業中止命令を受けていたにも関わらず操業し、1,127人の死者という痛ましい犠牲者を出した。この事件は全世界から注目を呼び、UNIとインダストリオールという2つのGUF(国際産別)は、200を超える多国籍なアパレル企業と共に「火災と建物の安全に関するアコード」を立ち上げた。以降、このアコードに沿って、1800の工場の査察が行われ、多くの瑕疵が発見され、改善の動きにつながった。アコードは昨年5月で終了し、現在延長が計画されているが、バングラデシュ政府は認めておらず、新たな紛争の火種となっている。

 労使紛争の未然防止のためにもアコードの延長と労働条件の改善が望まれる。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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