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No.533(2019/2/28)
労使関係の緊張が続く韓国自動車産業

 韓国自動車産業協会は1月13日2018年の韓国国内の自動車生産台数を発表した。昨年の生産台数は402万8724台と、前年の411万4913台に対し2.1%減少し、3年連続でのマイナスとなった。要因は国内需要の低迷に加え、米国・中国市場の停滞・減少に伴う輸出減によるところが大きい。年間生産台数400万台は韓国の自動車産業の生命線とも言われ、生産台数が400万台以下に落ちれば稼動率が下落し、部品メーカーの倒産が多発する可能性が大きいというのが業界の懸念だ。

 ここ数年の生産台数の減少は、国内外の経済的要因によるところが大きいが、もう一つ懸念されているのが労使関係の悪化である。

 朝鮮日報日本語版は2月7日緊張関係の続く現代自動車の労使関係の現状を次のように伝えている。(以下、要旨)

 韓国では人気の車種を手に入れるまで何か月も待たされるケースが多いが、これは労働組合の同意がなければ生産台数の調整ができない韓国自動車業界の「慢性病」のせいだ。世界の自動車業界は全力を挙げて体質改善に取り組んでいるが、韓国の自動車業界には大変難しい課題となっている。
 現代自動車では組合員約600人が先月31日、ストを行った。光州市と現代自動車がこの日「年収半額」「5年間の賃金団体交渉猶予」を柱とする「光州型雇用」の投資協約を締結したからだ。「光州型雇用」とは、光州市の雇用創出事業で、完成車メーカーなどが従来よりも低い賃金を支払い、政府と地方自治体が福利厚生費を支給することで賃金を補うものだ。強硬な労組と世界最高水準の賃金の影響で競争力が脅かされている韓国の自動車産業にとっては苦肉の策だ。しかし、労組は「光州型雇用は低賃金によって二極化を助長し、経済を破綻に追い込む」と反発している。(以上)

 また2月6日付の中央日報日本語版はルノーサムスン労組の近年の変化を次のように伝えている。(以下、要旨)

 ルノーサムスン労組は韓国自動自動車業界で「模範生」で通っていた。2015~2017年には3年連続ストライキなしに賃金交渉を終えた。ルノーサムスン労組が変わったのは昨年下半期からだ。ルノーサムスン労組は昨年10月から今月7日まで28回にわたり部分ストを行った。
 同社の労使臨時団体協議の核心の争点は基本給引き上げの可否だ。ルノーサムスン自動車は基本給を2016年3万1,200ウォン(約3,050円)、2017年6万2,400ウォン上げた。労組はさらに、基本給を10万667ウォン上げるように要求した。加えて自己啓発費の2万133ウォン引き上げと、特別激励金300万ウォンを支給するように主張している。これに対して会社側は基本給の引き上げは難しいという立場だ。会社側は代わりに基本給維持補償金、生産性激励金支給などで補償することを提案した。

 ルノーサムスン自動車の関係者は「2014年に釜山工場と日産の日本・九州工場がローグの生産台数配分をめぐり競合した時も釜山工場の平均人件費が圧倒的に低かったが、最近の調査で釜山工場の平均人件費の方が20%ほど高いことが分かった」とし、「このような状況で基本給まで上がれば、ローグの次期生産台数を獲得することは事実上不可能だ」と話した。

 憂慮が現実になればルノーサムスン自動車の売り上げは半分になる。昨年釜山工場で生産の半分ほどが消えるためだ。
仕事が急減すれば大規模な構造調整が避けられないというのが業界の見解だ。業界では4,000人規模の釜山工場の人材のうち半数ほどが職場を失うかも知れないと予測している。(以上)

 韓国の自動車労組の強硬路線は今に始まったことではない。筆者も20年ほど前に、現代自動車労組を訪問し意見交換をした際、「我々は日本の労働運動に学ぶことは少ない」「皆さんが長年に亘って幹部を務めていることを不思議に思う。なぜなら我々は厳しい闘争の結果長期に幹部を勤めることは難しいからだ」と言われ、唖然とした経験を持つ。その際我々は「日本の運動の基調は、生産性向上の成果は企業・労働者・消費者で公正に配分されるべきものであり、一方に偏るべきではない。そのためには組合員・消費者の思いを背景に粘り強く経営者と議論すべきであると考える」と主張したことを思い出した。

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