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No.523(2018/12/7)
プエルトリコ公務員労組が年金基金問題で政府を提訴

 11月15日のワシントン・ポストは「プエルトリコで公務員を組織するAFT(アメリカン教員協会)とAFSCME(州地方自治体労働組合)が政府に対し、退職年金の運用に約束違反があるとして提訴した。政府は公約した確定拠出年金勘定でなく金利の低い勘定で年金を運用したとしている。プエルトリコ政府は500億ドル近い年金基金への負債を抱え、年金削減を検討中にある」と伝えている。

 プエルトリコはカリブ海に位置する米国の自治領で、人口約370万人、スペイン統治時代の米西戦争を経て1900年に米国領土となった。2015年には債務総額約730億ドルを抱えて債務不履行に陥り、2017年にはハリケーンなどでも大きな被害にも直面している。
 こうした国情の中で公務員は約30万人を数えるが、実態は発展途上でありながら米国本土に近い事もあって、米国並みの行政出費を重ねてきた。筆者の記憶でも数十年前から巨額の財政赤字が話題になっていたが、債務不履行当時には時のプエルトリコ知事が「ノー・マネー!お手上げだ」と叫んだ事が思い出される。しかし米国の自治体とは違って破産法がないために、債務再編による債務の減額が出来ない。行政出費による赤字を累積させながら、頼みの観光も衰退の兆候を見せているプエルトリコの現状。
 今回は米国連邦議会も手をつけかねている自治領での公務員労組の訴訟問題であり、またこのような状況に一般民間人と公務員との所得格差の大きさもうかがえる。

全米女子サッカー連盟が新労組を公式承認

 11月15日のワシントン・ポストは「全米女子サッカー連盟(NWSL)がNWSL選手会(NWSLPA)を労使交渉の公式労働組合として認定した。同選手会はNWSLと契約を結んだ現役・新人選手を組合員とする。今回の公式承認についてNWSLPAアバーブッチ会長は『連盟とは従来通りの協力関係を維持しながらも、今までとは違う中心課題として、健康問題とリーグの存続問題を考えてゆく』と言明」と報じた。

 女子サッカーにはこのNWSLPAと並行してアメリカ代表クラスの女子選手が加入するUSWNTPA(US女子サッカーチーム選手会)があり、代表女子選手には男子選手も加入するUSSF(アメリカサッカー連盟)がある。このUSWNTPAの米国女子サッカーチームは2015年のワールド・カップに優勝して大きな話題を呼び、これに勢いを得た選手たちは男女平等の扱い、特に報酬面、人工芝ではなく自然芝のプレイ、ファースト・クラスの旅費などを要求し、オリンピック出場辞退も辞さないとして交渉した結果、2017年4月に要求を勝ち取っている。しかしこの全米クラスの選手も最低$15,000の給与は受け取るが、多くは副業を余儀なくされ、家族に頼るものも多く、全米クラスの選手といえども収入水準は低いといわれ、フルタイムの職業としては未だ成り立たない。
 今回承認されたNWSLPAは一般レベルの選手達による労働組合だが、その会長が「リーグの存続問題を中心課題に据えてゆく」と述べている現実の厳しさに女子サッカーリーグの経営の難しさが窺われる。労使の相互理解による努力で女子サッカーが大きく発展するよう切に期待したい。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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