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No.515(2018/9/7)
国際雇用労使関係学会(ILERA)の第18回世界会議、ソウルで開催
~持続可能な社会のための雇用のあり方などを論議~
ILERA第18回世界大会(ソウル)
ILERA第18回世界大会(ソウル)

 7月24日から27日まで、韓国・ソウル市で、「国際雇用労使関係協会」(ILERA※・会長=韓国高麗大学・金東元教授)の第18回世界大会が開催された。大会には世界約60カ国の労働分野の研究者、専門家、労使や行政、ILO(国際労働機関)の関係者など約2000人が参加した。これまでアジアでは1983年に京都、2000年に東京で開催されているが、日本以外での開催は今回が初めてである。日本からは日本労働政策研究研修機構(JILPT)の樋口美雄理事長、研究者、行政、労使、ILO関係者など約30人が参加した。
  ※ILERA:International Labour and Employment Relations Association

 今回の大会のテーマは「持続可能な社会のための雇用:何をすべきか」である。開会式で、金東元会長は、「世界の労働と雇用は今日、多次元的な挑戦に直面している。今大会では世界の第一線の専門家の論議を通じて、持続可能な社会を実現するための雇用関係の望ましい未来像を描き出してほしい」と呼びかけた。大会では会期中の4日間に、全体討論と分科会の組み合わせにより157のセッションが開催された。全体討論は6セッション、社会対話、能力開発、労働市場、社会的包摂、技術革新、そして労働の未来がテーマであった。

 国際雇用労使関係協会(ILERA)は、今日、労働分野では世界最大の学会である。創設は1966年、英国と米国の労使関係の研究団体、ILOの労働研究所、日本労働協会(現JILPT)が設立団体となり「国際労使関係協会」(IIRA※)として発足した。その後、世界的な労働市場の変化や就労の多様化を受け、2010年から名称を現在のILERAに変更した。論議のテーマも、先進諸国の労使関係中心のものから、非正規労働、差別と人権、インフォーマル労働を含む途上国の労働問題に広がり、今日ではILOの条約と勧告の扱う広い領域をカバーしている。
  ※IIRA: International Industrial Relations Association

 今回の大会では多くの関連イベントが設けられたが、特別なものとして三日目の夕方に開催された「ILERA・50周年シンポジウム」がある。ILERAの歩みを振り返ったのち、9名の歴代会長のリレートークが行われ、世界的な雇用と労働の変化と労働法制の役割が論議された。日本からは第11代会長(1998-2000)を勤めた花見忠氏(上智大学名誉教授)がアジアの視点からIIRAとILERAの活動を評価した。また、四日目の午前には特別セッション「ILO百周年」が設定され、ILO本部のグリーンフィールド副事務局長がILOの活動を振り返りつつ、百周年に向けた「労働の未来」の構想について触れ、その取組みへの参加を呼び掛けた。

 今回の世界大会の特徴として、開催国、韓国の政府、関係団体、労使や企業が多面的なバックアップを行ったことがある。大会の支援団体には韓国雇用労働部、韓国労働研究院、韓国産業安全協会のほか、労使団体から韓国労総(FKTU)、民主労総(KCTU)、韓国経総(KFE)と労使発展財団(KLF)、そしてソウル市が名を連ねていた。また、協賛組織には主力企業であるサムスン、現代自動車、LG、SK、ロッテ、POSCO(旧浦項製鉄)が加わり、大会会場の設営と運営、文化行事なども充実したものであった。このことは、今日の韓国のパワーを現すとともに、この国における労働問題の重みも印象づけていた。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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