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No.509(2018/7/20)
メキシコで労働者代表権をめぐる新たな動き

 歴史的に長期間メキシコ労働組合連盟(CTM)が支持してきた制度的革命党(PRI)のエンリケ・ベニャニエト大統領は経済低迷や米国大統領への対応などから、7月1日の大統領選ではこれまでの二大政党以外の新興左派政党「国家再生運動(MORENA)」のロペス・オブラドール元メキシコ市長が当選し、この12月に就任することになった。新大統領の労働組合に対する政策はまだ明らかではないが、インダストリオールニュース(2018年5月7日付)が伝える以下の動きはいわゆる「保護協約」に守られてきた旧体制から新たな民主的な展開が予想される。

 メキシコのロス・ミネロス(Los Mineros)労組は4年間の闘争の末、労働組合代表権選挙で勝利し、テクシッド(Teksid)社との団体交渉協定(CBA)を交渉する独占的権利を得た。これは、メキシコにおける結社の自由を擁護しているすべての人にとって、真の勝利を表している。

 インダストリオールに加盟しているロス・ミネロス労組は、堕落したテレジオ・メディナが率いるメキシコ労働者連合(CTM)を238票対145票で下し、コワウイラ州のモンクロワに本拠を置くテクシッド・ヒエロ社とのCBA交渉権を獲得した。

これはロス・ミネロス労組が達成した最も重要な勝利の1つだ。なぜなら、連邦調停・仲裁委員会が、代表権投票で敗北するように仕掛けたにも拘わらず、勝利したからだ。連邦調停・仲裁委員会は、大統領選挙が行われる直前にロス・ミネロス労組が敗北することを考えて、わずか24時間前に投票を行うと発表した。

 さらに、連邦調停・仲裁委員会の議長は、変更された投票権のあるメンバーリストを承認した。同委員会は、ロス・ミネロス労組の703名の労働者の代わりに、401名の都合の良い従業員と請負業者の名前を含む、会社とCTMから提出された別のリストに同意した。

 イタリアのフィアット・クライスラー・グループの一員であるテクシッド・ヒエロ社の労働者は、2014年以降、ロス・ミネロス労組に労働組合代表になるよう要請してきた。過去4年間、ロス・ミネロス労組に対する支持を表明した労働者にはCTMからの暴漢によって多くの攻撃が行われた。同時に、この期間中レイオフされた100人の労働者は、保護協約を結んでいるCTMによる非民主的な運営に抗議してストライキを組織したため、仕事を失った。

 「実に茨の道だった。4年間圧力、脅かし、苦痛のなか、多くの労働者が正当な理由も無く解雇されたが、労働者たちは権利を主張する勇気と尊厳を表明し、2014年に要求したロス・ミネロス労組に加わるという闘争を続けてきた」と記者会見で、ロス・ミネロス労組のショップスチュアートであるマヌエル・アルフォンソ・プリンスは語った。

 プリンスはまた、労組が代表選挙で勝利した後、権利を守るために解雇された約100人の労働者を職場に戻し、工場に新たな指導部を選出するよう努めると付け加えた。

 「テクシッドの労働者たちの頑張りと力強さを称賛します。自動車部品産業におけるこの勝利は、ナポレオン・ゴメス・ウルルティア氏が先頭に立って労働組合の代表権を要求しているコワウイラ州の何千人もの他の労働者にとって、新しい希望となります。インダストリオールはメキシコ労働者の権利侵害闘争を引き続き支援して行きます」とインダストリオール書記長ケマル・オズカンは述べている。

注:メキシコの複雑な労使関係を象徴する「保護協約」についてはメルマガNo238No141を参照

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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