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No.498(2018/4/27)
アジア比較労働政策セミナー、東京で開催
〜第四次産業革命と労働政策の対応などを論議〜

 3月28日、29日の両日、東京・上石神井の労働政策研究研修機構(JILPT)においてアジア太平洋地域を対象に、今年で二回目となる「東京比較労働政策セミナー」が開催された。会議にはこの地域の11カ国の若手の労働政策や労働法の研究者など16人、日本から研究者、実務家など約30人が参加した。また、招待講演者として、国際労働法社会保障法協会(ISLSSL)のD.トレウ(イタリア)、ILOトリノ国際訓練センターのG.カサレ副所長が参加した。

 セミナーの初日は、冒頭に菅野和夫JILPT理事長が挨拶、「1980年代に工場にロボットやMEが導入されたときには、労使関係や労働政策により問題点が克服された。これから本格化する新しい技術革命にもそれが通用するのかなどを論議してほしい」と述べた。続いて、JILPTの濱口圭一郎所長が「現代日本の雇用形態の展開と労働政策」と題する基調講義を行った。濱口氏は、まず日本のこれまでの産業革命での雇用の変化と労働政策の対応を紹介した。そして、現在の第四次産業革命について、今回の雇用面の変化は激しくなり、労働政策と労使関係は根本的な変革をせまられるのではないか」と問題提起を行なった。

 その後、セミナーでは、日本を含む14人の研究者からの報告とそれを踏まえた討論が行われた。韓国、中国、台湾、タイなどの研究者は、新技術の導入の状況とそれに伴う労働政策の取組みなどを報告した。インドからは雇用の変化への労働組合の対応について、豪州からは団体交渉の機能の変化についての研究報告が紹介された。インドネシアとカンボジアの研究者は最低賃金の動向と制度について報告した。セミナーでは、それぞれの報告ののちに討論が行われた。そこでは、日本の各国専門家がまずコメントを行い、それを踏まえて全体で討論する方式がとられた。

 今回のセミナーを通じて、研究者からの報告は、主催者の問題提起に的確に応える内容であった。そのため、討論を通じて、第四次産業革命に関して、アジア太平洋地域の状況が示され、地域ならびに各国の政策課題について深堀することができた。その内容は、セミナーのとりまとめとして、①新技術の雇用へのインパクトと影響、②グローバル化による経済の変化と労働問題、③途上国における基本的労働基準確立の取り組み、に整理された。これらは、今後、報告書としてとりまとめられる予定であり、アジア地域や各国での活用が期待される。

 セミナーは、最終日、全体のしめくくりとして、JILPTの菅野理事長ならびに二人の招待講演者によるパネルディスカッションが行われた。そこでは、アジア太平洋地域の多様性が指摘され、第四次産業革命に対して、各国の状況に応じた適切な労働政策をすすめていくことの重要性、そして労使関係と労働法の役割が強調された。今年二回目となるこの国際セミナーが成功裏に終了したことの意義は大きく、今後、わが国の労使との交流を含め、さらに幅広いかたちで運営され、成果を広げることを期待したい。

発行:公益財団法人 国際労働財団  https://www.jilaf.or.jp/
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