ラオスの基本情報

面積 23.7万平方キロ(日本の0.63倍)(2017年、The World Fact Book(WFB))
人口 686万人 (2017年、国連推計)
首都 ビエンチャン(82.1万人・2015年ラオス政府統計局)
主要都市 サバンナケット12.5万人、ルアンプラバン9万人、パクセ7.7万人(2015年推計)
主要言語 ラオス語(公用語)、少数民族言語など 
民族 ラオ民族53.2%、クムー族11%、モン族9.22%、ほか多数の少数民族(2015年、WFB)
宗教 仏教、ほか 
GDP 170億米ドル(2017年、ラオス政府統計)  ※産業分野別比率は本文第5項参照
一人当りGDP 2,542米ドル(2017年、ラオス政府統計)
労働力人口 347.5万人(2015年、ラオス政府統計)  ※産業分野別比率は本文第5項参照
産業別分布(%) サービス業(GDPの約36%),農業(約22%),工業(約33%)(2015年,ラオス統計局)
IL0中核8条約要 批准総数10、中核8条約:批准5、未批准3(87号、98号、105号)(2018年6月)
通貨 1キープ=0.0130円、 1米ドル=8,351.5キープ (2017年平均、IMF)
政治体制 人民民主共和制(一党支配型)
国家元首 ブンニャン・ヴォーラチット国家主席(ラオス人民革命党書記長)
議会 一院制(国民議会149議席)
行政府 大統領(国家主席)、首相のもとに首相府・18省 地方は首都と17県
主な産業 サービス業、農業、工業
対日貿易 対日輸出168億円 対日輸入130億円(2017年,財務省統計)
日本の投資 6億円(2017年、財務省統計)
日系企業数 135社 (2017年10月現在、外務省統計)
在留邦人数 849人(2017年10月現在、外務省統計)
気候 熱帯から温帯まで、5~11月雨季
日本との時差 ‐2時間
社会労働情勢概要 ・政治は人民革命党(共産党)による一党支配体制であるが、2016年の党大会では腐敗防止運動の推進が強調された。
・産業の中心は農業であり、就労者の7割以上、GDPの4割以上を占めている。近年は工業やサービス業の拡大もあり、6%から8%の経済成長が10年以上続いている。
・賃金の水準が低く、タイから外資系工場が移転しており、ビエンチャン近辺のほか南部等にも進出がある。就労者の8割は零細な農業などインフォーマルセクターで働く。
・労働組合はラオス労働組合連盟(LFTU)が社会主義のもとのナショナルセンターとして、労働者の合法的な権益を守る活動をすすめている。
主な中央労働団体 ラオス労働組合連盟 (LFTU: Lao Federation of Trade Unions)
労働行政 労働・社会福祉省(Ministry of Labour and Social Welfare)
中央使用者団体 ラオス商工会議所(Lao National Chamber of Commerce and Industry)
最終更新日 2018年 9月 30日
主要統計
(GDP)
201220132014201520162017
GDP成長率 8.28.07.47.56.96.8
一人当りGDP(ドル) 1,3861,5941,6882,2122,4172,542
物価上昇率 (%) 5.56.44.31.31.61.5
失業率 (%)

1.政治と社会の動向(1945年以降)

事項
1945年 日本の占領、敗戦で終了。仏は再植民地化めざす。
1950年 パテトラオ(ラオ愛国戦線:左派の軍事組織)結成、反仏闘争
1953年 仏・ラオス条約によりラオス王国独立
1954年 ジュネーブ和平条約。中南部に王国、北部2県はパテトラオ支配地域。
1957年 和平条約に基づき王政とパテトラオ系の連合政府発足。内戦となり崩壊
1964年~ パテトラオ、米軍の爆撃を受けるが、内戦を通じて支配地域を拡大
1973年 王政とパテトラオ政治団体、パリで和平協定。1974年、「暫定国民連合政府」発足。
1975年 パテトラオによる革命。人民民主共和国成立。人民革命党政権、カイソーン党書記長。
1977年 「ラオス・ベトナム友好協力条約」締結。
1986年 人民革命党大会、改革路線「チンタナカーン・マイ(新思考)」採択。
1991年 新憲法制定。カイソーン、国家主席兼任。憲法は2003年に改正
1997年 ASEAN加盟 2001年、経済五か年計画策定(以降、5年毎策定)
2006年 人民革命党大会。チュンマリー党書記長(国家主席)。改革路線の継続確認
2012年 WTO加盟
2016年 人民革命党大会、ブンニャン党書記長(兼国家主席)、トンルン首相を選出。
2017年 「全党反汚職キャンペーン」展開。中国主席来訪、大規模経済支援。

2.国家機構等

元首

  • 国家主席:ブンニャン・ヴォーラチット・人民革命党書記長(2016年4月就任)、任期5年。

議会

  • 国民議会(一院制、149議席、任期5年) 
    議長:パーニー・ヤートートゥ(党政治局員)
    議席:人民革命党が144議席(2016年3月・国民議会選挙)

行政

  • 首相は国家主席に指名され、国民議会で承認を受ける。任期は5年。 
    トンルン・シースリット首相(党政治局員)  
    サルムサイ・コンマシット外相

司法

  • 2審制。第1審は、県人民裁判所、特別市人民裁判所、郡人民裁判所、軍事裁判所から構成され、最高人民裁判所が最終審となる。

3.政治体制

政体

  • 人民革命党(共産党)一党支配による社会主義体制

主な政党

  • 人民革命党
    (共産党)

1955年にインドシナ共産党ラオス地方委員会から独立して設立。パテトラオ(ラオ愛国戦線)などの軍事組織を指導して王国軍と内戦を闘う。1972年の党大会で現在の党名に変更。マルクス・レーニン主義、プロレタリアート独裁を綱領に掲げる。最高指導部は8人の中央委員会政治局員。主なメンバーはつぎの通り。
・ブンニャン・ヴォーラチット(党書記長・国家主席)、トンルン・シースリット(首相)、パーニー・ヤートートゥ(国民議会議長)など。

4.人口動態

  • ラオスの現在の人口は686万人。若い国民が多く年齢の中央値は23.0歳であり、年齢分布は25歳未満が54%、25歳以上55歳未満が37%、55歳以上が9%である(2017年)
  • 国連による将来人口推計(中位)では、2030年が805万人、2050年が916万人である。

5.産業構造と就業構造

主要産業

  • カンボジアは農業国であり、就労人口の7割強、GDPの2割強を占める。農業は稲作が中心でメコン川流域などの水田と山地での焼畑がある。商品作物としてはコーヒー豆ととうもろこしである。このほか、縫製業などの工業、サービス業などが展開している。
  • 産業分野の動向をGDPの構成比でみると、サービス業等45.9%、製造業等33.2%、農業等20.9%(2017年、WFB)である。

就業状況

  • ラオスの就労人口は347.5 万人である(2015年)。産業分野別の構成比は農業等73%、サービス業等21%、製造業等6%である(2012年・WFB)。
  • 就労者の7割程度はインフォーマル・セクターにおり、フォーマル労働者は3割程度である。インフォーマル労働者の多くは農村部におり零細農業に従事している。
  • タイへの出稼ぎ労働者は、10 万人とも30 万人とも言われる。ラオスとタイは、査証免除協定(1ヶ月査証・Border Pass)を締結しているため、陸路による往来が可能である。
  • 国内で新しい工業団地が相次いで設立されており、雇用機会が増えていくと思われる。それに伴い、工場労は零細な縫製業から組立・機械工業に拡大していくと考えられる。

6.経済状況

経済情勢

  • ラオスは、国民の多くが自給自足的な農業に従事しており、ASEANのなかで貧しい国のひとつであり、国連では後発開発途上国(LDC)とされている。
  • 政府は2016年に中長期のプランである「ビジョン2030」を確認、2030年までに一人当たりGDPを4倍にするという目標を掲げている。
  • 近年は経済成長が続いており、2006年以降は7%から8%の経済成長が持続している。経済成長の要因は農業、水力発電、鉱業、製造業、観光業の伸びにあるが、2016年以降は発電、鉱業、観光業が伸び悩み、成長率は6%台に低下している。
  • 隣国タイの人件費の上昇などを受けて、タイ進出企業の中には、ラオスに生産工程の一部を移す動きが見られる。

所得の動向等

  • 国民の所得を一人当たりGDPでみると2,542米ドルである。ASEAN10か国では第7位のレベルであるが、この間の経済成長の持続もあり、ベトナム、ミャンマー、カンボジアを上回り、フィリピンに近づいている。

7.労働組合の組織

ナショナルセンター

  • ラオス労働組合連盟(LFTU)は1956年に結成され、人民革命党の指導のもとにある社会主義体制内の組織である。LFTUは、その組合員や労働者を代表するとともに、その合法的な権益を守ることを使命としている。
  • 主な活動は、(1) 労働者の正当な利益の保護、(2)労働関連法規の普及、(3) 団体交渉の推進、(4) 職業安全衛生などがあげられる。
    (※)詳細は国際労働財団HPの「ナショナルセンター情報」参照。

8.支援組織、国際産業別労組(GUFs)の活動

現地協力・支援活動実施

  • 日本JILAF、ドイツFES、豪州APHEDA、スウェーデンLOが支援のプログラムがある。
  • フィンランドSASK、ノルウェーLOは支援実績があるが、現時点では実施していない

現地事務所設置

  • APHEDA(豪州)は事務所を設置し、事業展開をしている。

9.労使紛争の状況

  • 労働組合はストライキを禁止されており、表立った労働争議が起こることは少ない。最近の労使紛争の件数は2016年が92件、2017年が75件である。紛争の要因は、残業手当の未払い、賃金の遅配などであり、LFTUは労働協約の締結を推進している。
  • 政府の労働管理局からは、労働者によるストライキ又はデモは生じていない、労働者による会社の資産あるいは備品、職場を破壊されたことはない、法的理由なくして雇用主に解雇されたケースは見られない、という報告がある。
  • 労働紛争は当事者の間での和解が奨励されており、和解が難しい場合には労働監督機関に付託されることになっている。労働監督機関の仲裁によって解決できない場合には人民裁判所に持ち込むことができる。

10.最低賃金制度と労働・社会保障法制

最低賃金

  • 2018年5月から最低賃金が改定され、従来の月額90万キープから110万キープに引き上げられた。改定額の審議では労働組合側は120万キープ、使用者側は100万キープとするよう主張していた。タイの最低賃金と比べると半分以下の水準であるが、縫製工場などでは最低賃金の引き上げに従わないところも多い。

最低賃金額の推移

 

2012年

2015年

2018年5月

月額最低賃金
(キープ)

626,000

(約80米ドル)

900,000

(約110米ドル)

1,100,000

(約133米ドル)
上昇率(%) 創設年 43.8 22.2

資料:ラオス労働・社会福祉省

  • 最低賃金制度は2012年にはじまり、3年毎に物価の状況などをみて改定される。最低賃金の定義は、政府が規定する最低限の給与または労賃を意味し、これには、その他の諸手当(時間外労働賃金、手当、賞与、食費、宿泊費、送迎費、その他の褒賞金等)は含まれない。
労働・社会保障法制
  • 主な労働法はつぎの通りである。
    「労働組合法」(2007年・2018年改正)、「労働法」(2007年・2018年改正)(※)
    「女性の地位向上及び保護法」(2004)、「児童の権利及び利害関係保護法」(2006)
    (※)印の法律は国際労働財団HPの「アジア労働法データベース」に日本語訳がある。

11.日本のODA方針 (外務省・「国別開発協力方針(2012年4月)」より)

  • 基本方針:ラオスの「第7次社会経済開発目標」の達成を支援し、とくに環境などにも配慮した経済成長の促進に一層の重点を置いた援助を展開する。
    重点分野:ASEANが進める統合、連結性の強化、域内の格差是正をはかる観点から、①経済・社会のインフラ整備、②農業の発展と森林の保全の保全、③教育環境の整備と人材育成、④保健医療サービスの改善の4分野を重点とする。

12.JILAFの事業

  • 招へい事業:2001年に事業をはじめる。今日まで35人(男性19人、女性16人)の若手労組指導者を招へい(2017年度末現在)
  • 現地支援事業:2007年よりセミナーなどの事業をはじめる。テーマは、「労使関係・団体交渉、労働協約」(2007~2012年)、「職場環境改善」(2008~2010年)労使関係・労働政策セミナー(2014~2017年)
  • インフォーマル支援事業(SGRA):2015年度より実施中。セミナー、職業訓練など。
  • GUFs日本組織との連携:「団体交渉・労働協約セミナー」(2011年)において、UNI日本加盟協議会との連携を行った。