マレーシアの基本情報

面積 33.0万平方キロ(日本の0.87倍)( 2017年、The World Fact Book(WFB))
人口 3,205万人 ( 2017年、マレーシア政府統計)
首都 クアラルンプール179万人(2017年、ジェトロ)(首都圏人口683.6万人、2015年)
主要都市 ジョホールバル(91.1万人)(2015年推定)(世界年鑑)
主要言語 マレー語(公用語)、ほか英語、中国語、タミル語など(2018年世界年鑑)
民族 マレー系62%、中国系21%、インド系6%など (2017年、WFB)
宗教 イスラム教、仏教、キリスト教、ヒンズー教
GDP 3,145.0億米ドル(2017年、マレーシア政府統計)※産業分野別比率は本文第5項参照
一人当りGDP 9,659米ドル(2017年、マレーシア政府統計)
労働力人口 1,495.3万人(2017年、マレーシア政府統計) ※産業分野別比率は本文第5項参照
産業別分布(%) 製造業22.8%、商業・飲食・ホテル18.5%、金融・保険・不動産・事業サービス10.9%(GDP比、2015年(公財)国際金融情報センター各国情報より)
IL0中核8条約要 批准総数:18、中核8条約:批准6、未批准2(87号、111号)(2018年6月、ILO)
通貨 1リンギ=27.6円、1米ドル=3.94リンギ (2018年前半平均、IMF)
政治体制 立憲君主制
国家元首 ムハマド5世第15代国王(2016年12月就任)
議会 二院制(上院70議席、下院222議席)
行政府 大統領が任命する首相のもと首相府と24省 マハティール首相(2018年5月就任)
主な産業 製造業(電気製品)、農林業、鉱業
対日貿易 対日輸出2兆1,619億円 対日輸入1兆4,313億円(2017年、財務省統計)
日本の投資 1,126億円(2017年、財務省統計)
日系企業数 1,396社(2016年12月、ジェトロ) 
在留邦人数 24,411人(2017年、外務省統計)
気候 熱帯雨林気候 10~3月雨季(クアラルンプール)
日本との時差 −1時間
社会労働情勢概要 ・イスラム穏健派の民主主義国であり、かつて「ルックイースト」を掲げるなど日本への関心も高い。なお、現政権は前政権による中国との大規模経済協力の一部を修正。
・経済は2010年以降、5%程度の成長が続き、2017年は5.9%。ASEANのなかでも順調な展開をみせている。政府は「2020年までの先進国入り」を目標としている。
・経済成長は以前は海外からの投資と製造業の輸出に支えられていたが、現在は民間消費の拡大が中心。賃金の上昇と政府の所得支援が寄与したといわれる。
・労使紛争は年間300件程度発生しているが、行政による強制的な仲介システムがあり、ストライキに移行することは少ない。
・労働組合のナショナルセンターはマレーシア労働組合会議(MTUC)であり、組織化と政策実現に取り組む。
主な中央労働団体 マレーシア労働組合会議(MTUC: Malaysian Trade Union Congress)
労働行政 マレーシア人的資源省 (MOHR: Ministry of Human Resources Malaysia)
中央使用者団体 マレーシア使用者連盟(MEF:Malaysian Employers’ Federation)
最終更新日 2018年 9月 30日
主要統計
(GDP)
201220132014201520162017
GDP成長率 5.64.76.05.04.25.9
一人当りGDP(ドル) 10,34510,47110,8139,5519,2729,659
物価上昇率 (%) 1.62.13.22.12.13.7
失業率 (%) 3.03.12.93.23.53.4

1.政治と社会の動向(1945年以降)

事項
1945年 日本が敗戦、占領の終了
1946年 英領マラヤ連合 1948年英領マラヤ連邦 1957年マラヤ連邦独立
1963年 マレーシア連邦成立(シンガポール、北ボルネオ含む)
1965年 シンガポールが分離独立。今日のマレーシアに。ラーマン首相
1968年~ マラヤ共産党の武装闘争 1969年マレー人と中国人の大規模衝突(5.13事件)
1981年 マハティール首相就任。開発と統制、ルックイーストなどの政策を推進
2003年 マハティール氏辞任、アブドラ首相就任
2008年 総選挙で野党議席増。与党連合「国民戦線」と野党連合の二大政党型に
2009年 「国民戦線」のナジブ、首相就任
2011年 公正な選挙と政治の自由化を求める大規模行動 2012年「国内治安法」撤廃
2013年 総選挙で野党微増、二大政党続く。ナジブ首相再任
2015年 「戦略的パートナーシップについての日マレーシア共同声明」
2016年 ナジブ首相に資金不正疑惑。マハティールが野党連合に合流表明。
2017年 中国の支援による未来都市など巨大プロジェクト調印。
2018年 総選挙で野党連合「希望同盟」が勝利、独立以来の政権交代。マハティール首相就任。

2.国家機構

元首

 国王。5年ごとに、9つの州(※)の世襲スルタン(イスラム王侯)の互選で決定。(※13の州のうち、ペナン、マラッカ、サバ、サラワクを除く)

議会

  • 二院制。上院70議席(任期3年)、下院222議席(任期5年)
  • 下院議席(2018年5月選挙)
    [与党:希望連盟 ]122
    ※希望同盟は民主行動党(DAP)、人民正義党(PKR)、マレーシア統一プリブミ党(PPBM)
    の連合体。
    [野党:国民戦線など ]97
    -国民戦線55、サラワク党同盟19、繁栄のアイディア18、その他5
    ※国民戦線は統一マレー国民組織(UMNO)、マレーシア華人協会(MCA)、マレーシア・イ
    ンド人会議(MIC)など13政党の連合体
    [その他 ]全マレーシア・イスラム党18

行政

  • 首相:国王が下院多数派指導者を任命。現在はナジブ・ラザク氏(2009年4月より)
  • 首相のもとに、首相府、24の省、労働行政は人的資源省が担当。

司法

  • 三審制。連邦裁判所(最高裁)、上訴裁、高裁、地裁など。

地方行政

  • 13の州と3連邦直轄区(クアラルンプール、ラブアン、トラジャヤ)。各州には州議会、州首相と州内閣がある。

3.政治体制

政体

  • 立憲君主制。普通選挙による民主主義制。
  • 議員内閣制で首相が政治の実質的な最高権力を持つ。

主な政党

民主行動党
(DAP)
与党・「希望連盟」の中心の一つ。1957年結成。主な支持基盤は中国系国民で中道左派。シンガポール人民行動党と同根。
人民正義党
(PKR)
「希望連盟」に所属。1999年、提訴されたアンワル(前政権の副首相)の支持者がアンワル夫人を党首に結成。中道リベラル政党で経済再生プランを掲げる。
マレーシア統一
プリブミ党
(PPBM)
「希望連盟」に所属。2016年、マハティールがUMNOのナジブ首相を批判して結成。UMNOの5回目の分裂ともいわれる。議長はマハディール首相。
統一マレー
国民組織
(UMNO)
1946年に結成されたマレー系国民による保守政党で独立以来60年間与党にあった。2018年総選挙では「国民戦線」を形成。ナジブ前首相が総裁。
マレーシア
華人協会
(MCA)
中国系国民の保守層による政党。UMNO政権時代には与党の第二党であった。2018年総選挙では「国民戦線」に参加。
マレーシア・
インド人会議
(MIC)
インド系国民の保守層による政党。UMNO政権時代には与党連合の一角。2018年総選挙では「国民戦線」に参加。
全マレーシア・
イスラム党
(PAS)
マレーシアでコーランなどに基づくイスラム国家の樹立をめざす政党。2018年総選挙では「希望同盟」に属したが脱退。18議席を獲得。

4.人口動態

  • 2017年の人口は3,162万人。国連の予測では2030年には約3,680万人、2050年には約4,170万人に増加、2090年に現在の約2倍でピークに達した後、人口減少に転じる。
  • 現在の年齢別人口を見ると、24歳以下が44.6%、25~64歳が49.3%、65歳以上が6.1%であるが、近い将来に高齢化の時代を迎えるといわれる。

5.産業構造と就業構造

主要産業

  • 主な産業は、製造業(電気機器)、農林業(天然ゴム、パーム油、木材)および鉱業(錫、原油、LNG)など。GDPの分野別比率ではサービス業等54.7%、製造業等36.9%、農業等8.4%(2017年、WFB)。
  • 主な輸出品は、電気製品、パ-ム油、化学製品、原油・石油製品、LNG、機械・器具製品など、輸入品は、電気製品、製造機器、化学製品、航空機関連などである。

労働力人口

  • 労働力人口は1,495.3万人(2017年)である。産業別の比率ではサービス業等53%、製造業等36%、農業等11%(2012年、WFB)
  • 多くの外国人労働者が就労していることが特徴で、合法的な外国人労働者だけで213.5万人(マレーシア内務省・2017年)で労働力人口の14.5%を占める。出身国はインドネシアが最大で83.6万人である。これに加えて200万人程度の非合法就労があるといわれる。就労先は農業・プランテーション、建築、製造業、家庭内労働(メイド)などの産業セクターが中心である。

6.経済状況

経済情勢

  • 経済は2010年以降、5%程度の成長が続き、2017年は5.9%。ASEANのなかでも順調な展開をみせている。政府はマハティールがかつての首相時代に掲げた「2020年までの先進国入り」の目標達成に向けて取組んでいる。
  • ナジブ前政権は中国との経済協力を政策の柱に据え、大規模な鉄道建設、未来都市、港湾プロジェクトを打ち出したが、現マハティール政権はその一部を修正しつつある。
  • 経済成長はかつては海外からの投資と製造業の輸出に支えられていた。現在は民間消費の拡大が中心であり賃金の上昇と政府の所得支援が寄与したといわれる。政府は個人金融の拡大が家計債務の膨張を生まないよう規制を強めている。
  • 経済規模に比べて人口が少ないため外国人の就労に支えられている産業が多い。政府は2016年に外国人労働者への課税(人頭税)を引上げ、2018年1月からは外国人雇用に関する新たな制度を導入し、人頭税を労働者負担から雇用主負担に切り替えた。現在は合法、非合法を合わせて400万人程度の外国人が就労するといわれる。

所得の動向等

  • 一人当りGDPは、2012年に1万米ドルを超えたが、2017年には9,659米ドルである。中進国から先進国をめざすレベルになっている。

7.労働組合の組織

組合数・組合員数等の現状

  • 組合数、組合員数はいずれも漸増の傾向だが、組織率は6.9%(2013年)にとどまっている。

ナショナルセンター

  • 代表的なナショナルセンターはマレーシア労働組合会議(MTUC)である。
  • 主要な活動としては、最低賃金制度の制定と適切な運営、定年年齢の引き上げ(55歳から60歳)への対応、労働法制改正への取り組みなどがある。

産業別の状況

  • MTUCに加盟する主な産業別組織の分野は、①製造、 ②公務、 ③商業・金融、④建設、⑤電力・郵便・通信などである。
    (※)詳細は国際労働財団HPの「ナショナルセンター情報」参照。

8.支援組織、国際産業別労組(GUFs)の活動

現地協力・支援活動実施

  • 国際協力組織にとって、マレーシアは途上国としての協力対象ではなく、国際協力推進のパートナーと位置づけられている。
  • ドイツFES、米国ACILS、ノルウェーLO、スウェーデンLO-TCOがプログラムをもっている。
  • GUFsは、加盟組織を通じて協力活動を進めている。

現地事務所設置

  • 上記のうち、ドイツFESが現地事務所を設置している。

GUFs事務所設置

  • PSI(国際公務員労連)が、クアラルンプールに、アジア太平洋地域組織事務所を設置している。

9.労使紛争の状況

  • 労使紛争件数は年間300~350件ほどで推移している。ストライキは、スト実施手続の煩雑さ、対象とすることが可能な紛争の範囲が狭いこと等の問題があり、2011年以降、政府の統計には記録されていない。
  • 労使紛争の争点の多くは労働協約改定と協約の解釈をめぐる問題である。

労使紛争・ストライキ件数の推移

(数、人)

  2011年 2012年 2013年
件数 解決率 件数 解決率 件数 解決率
労使紛争 311 81.82 324 86.59 375 78.44
ストライキ 0 - 0 - 0 -

資料出所:人的資源省ウェブサイト

10.最低賃金制度と労働・社会保障法制

最低賃金

  • 2013年から最低賃金制度が導入されているが、2019年1月に第2回目の改定が行われる。マレー半島部では従来の月額1,000リンギ(時間当たり4.81リンギ)から、月額1050リンギ(時間当たり5.05リンギ)に引上げられる。

最低賃金の推移

(単位:リンギ)

地域

導入時

2013年1月~

第1回改定

2016年7月~

第2回改定

2019年1月~
月額 時間額 月額 時間額 日額 時間額
マレー半島部 900 4.33 1,000 4.81 1,050 5.05
東マレーシア(※) 800 3.85 920 4.42 1,050 5.05

(※)サバ州、サラワク州、ラブアン島

(資料出所:人的資源省WEB)

  • 最低賃金は外国人労働者を含むすべての労働者に適用されるが、家事労働者は適用除外である。最低賃金以上の賃金を支払わなかった使用者に対しては、支払わなかった労働者1人当たり最高10,000リンギの罰金が科される。
  • 政府は先進国入りの目標とする20年までに、1,500リンギまで引き上げたいとしている。使用者団体からは、外国人労働者の人頭税引上げ、雇用保険制度の導入などの労務費増加が続くことから反発の声がでている。一方、マレーシア労働組合会議(MUTC)は今回の引き上げは小幅であるとするほか、全国一律の最低賃金に修正するよう求めている。
労働・社会保障法制
  • 主な法制はつぎのとおりである。
    「労働組合法」(1959年)、「労使関係法」(1967年)。「雇用法」(1955年)(※)、「最低定年年齢法」(2011年)、「全国賃金審議会法」(2011年)、「外国人雇用規制法」(1968年)、「労働者災害補償法」(1952年)、「年金法」(1980年)、「従業員社会保障法」(1969年)
    (※)印の法律については国際労働財団のアジア労働法データベースに日本語訳を掲載。 

11.日本のODA方針(外務省・「国別開発協力方針(2017年5月)」より)

  • 基本方針:マレーシアは2020年を先進国入りの目標としている。①グローバルな開発パートナーとしての関係の構築、②東アジアの地域協力の推進を基本方針とする。
  • 重点分野:①マレーシアの発展が地域のモデルとなるよう、先進国入りに向けた均衡のとれた発展を支援、②東アジア地域共通課題への対応、③東アジア地域を超えた日・マレーシア開発パートナーシップの推進。

12.JILAFの事業

  • 招へい事業:1991年から今日まで85人(男性57人、女性28人)の労働組合若手指導者を招へいした(2017年度末現在)。
  • 現地支援事業:1995年からセミナーなどを行った。主な内容は次の通り。「団体交渉」(1995~1999年)、「苦情処理・労働裁判」(2001年)。なお、マレーシアが途上国から中進国に移行したことなどから、2002年以降は現地セミナー等実施していない。