バングラディシュの基本情報

面積 14.8万平方キロ(日本の0.38倍)(The World Fact Book(WFB))
人口 1億6,467万人 (2017年、国連推計)
首都 ダッカ 1,759.8万人(2015年)(世界年鑑)
主要都市 チッタゴン453.9万人、クルナ102.2万人(2015年)(世界年鑑)
主要言語 ベンガル語(公用語)99%、ほか
民族 ベンガル人98%、他少数民族 (2011年、WFB)
宗教 イスラム教89%、ヒンズー教10%、ほか (2013年、WFB)
GDP 2,614億米ドル(2017年、ジェトロ) ※産業分野別比率は本文第5項参照
一人当りGDP 1,602米ドル(2017年、ジェトロ)
労働力人口 6,360万人(2017年、ILOデータベース)   ※産業分野別比率は本文第5項参照
産業別分布(%) サービス業(53.1%)、工業・建設業(31.5%)、農林水産業(15.4%)(2016年度暫定値、バングラデシュ中央銀行)
IL0中核8条約要 批准総数35、中核8条約:批准7、未批准1(138号)(2018年6月、ILO)
通貨 1タカ=1.31円 1米ドル=83.13タカ (2018年前半平均、IMF)
政治体制 共和制、議院内閣制。
国家元首 モハンマド・アブドゥル・ハミド大統領(2009年2月就任)
議会 一院制(総議席350)
行政府 首相、内閣のもと41省。シェイク・ハシナ首相(2014年1月就任)。
主な産業 衣料・縫製産業、農業
対日貿易 対日輸出1,310億円 対日輸入1,953億円(2017年財務省統計)
日本の投資 -41億円(2017年、財務省統計、引上げ額が投資額を上回る)
日系企業数 269社(2018年、ジェトロ・ダッカ事務所)
在留邦人数 841人(2018年、外務省統計)
気候 亜熱帯気候、3~5月雨季、11~3月乾季
日本との時差 -3時間
社会労働情勢概要 ・政治は2018年末の総選挙をにらみ与野党にさまざまな動きがある。2016年に続発したテロや襲撃は沈静化の方向にあるが予断を許さない。
・経済は、2010年以降、6~7%の成長率を続けている。ただし成長の背景は縫製品輸出、海外労働者からの送金、農業セクターの成長などに偏よる。産業の多角化と海外からの投資促進のため、電力・道路等の基礎インフラを整備することが大きな課題。
・政府が運営する工場団地が現在8か所あるが、欧米からの高い需要があり、日本からの進出企業数も増加している。
・中央労働団体は35団体で、ITUC加盟の主要団体が6つである。中央使用者団体は1団体である。
主な中央労働団体 労働組合連盟(JSL)
バングラデシュ民族主義労働組合連合(BJSD)
バングラデシュ自由労働組合会議(BFTUC)
バングラデシュ労働連盟(BLF)
バングラデシュ自由労働組合連盟(BMSF)
バンラデシュ・サンジュクタ組合連盟(BSSF)
労働行政 雇用労働省(Ministry of Labour and Employment)
中央使用者団体 バングラデシュ使用者連盟(Bangladesh Employer’s Federation)
最終更新日 2018年 9月 30日
主要統計
(GDP)
201220132014201520162017
GDP成長率 6.26.06.16.67.17.3
一人当りGDP(ドル) 7669761,1101,2361,3851,563
物価上昇率 (%) 10.66.87.46.45.95.4
失業率 (%) 4.24.2

1.政治と社会の動向(1945年以降)

事項
1947年 パキスタンの一部(東パキスタン)として英国から独立
1949年 二大政党の一つ、アワミ連盟(AL)創設
1971年 パキスタンからの独立宣言、内戦に突入。パ戦争
1971年 バングラデシュ独立。1972年・ムジブル・ラーマン首相就任。1974年・国連加盟
1975年 軍部クーデター、ラーマン大統領暗殺。1977年陸軍参謀長が大統領就任。
1978年 バングラデシュ民族主義党(BNP)設立。二大政党の一つ。
1982年 軍部クーデター。戒厳司令官エルシャド大統領就任、1986年に国民党(JP)設立。
1991年 総選挙、BNP勝利。以降、BNPとALが選挙により交互に政権運営
1991年 憲法改正、大統領は象徴的地位に
1996年 総選挙、AL勝利。ハシナ首相(AL総裁)
2001年 総選挙、BNP勝利。ジア首相(BNP総裁)
2006年 軍の圧力でジア政権退陣。翌年、非常事態宣言
2008年 民政回復。総選挙、AL勝利。2009年・第二次ハシナ政権。
2010年代 経済成長続く。BRICsに続く「ネクスト11」と言われるようになる
2014年 総選挙でAL勝利、第三次ハシナ政権。与党の弾圧理由に野党は。選挙ボイコット。
2015~16年 テロ相次ぎダッカの飲食店をIS系過激派襲撃、日本人7人を含む22名死亡

2.国家機構

元首

  • 大統領(象徴的地位) 現在はアブドゥル・ハミド(2009年2月就任)

議会

  • 一院制、350議席。任期5年。議席のうち50は各党に配分の女性枠。
  • 議席
    (与党)アワミ連盟(AL)231、国民党ナジウル派
    (野党)国民党(ナジウル派以外)、バングラデシュ労働者党6、国家社会主義党5
    ※最大野党のバングラデシュ民族主義党(BNP)は選挙ボイコット、国民党は総選挙で各派合わせて34議席。
    • 選挙権は18歳以上の男女、被選挙権は25歳以上の男女。従来は政権の任期満了後、直近に退職した最高裁長官を長とする諮問委員会が「暫定選挙管理内閣」を形成し90日以内に総選挙を実施していた。2014年の憲法改正で廃止(BNPは認めていない)。

行政

  • 首相 大統領が議会多数派指導者から指名。
  • 現在はシェイク・ハシナ氏(2014年1月就任)
  • 閣僚は首相の指名に従い大統領が任命。閣僚の10分の9以上は国会議員から任命。
  • 首相のもと41省。労働行政は「労働・雇用省」が担当。

地方行政

  • 8つの管区、64の県(「ジェラ」)、496の郡(「ウポジェラ」)、4,554の行政村(ユニオン)により構成。8管区は、バリサル、チッタゴン、ダッカ、クルナ、ラジシャヒ、ロンプール、シレット、マイメイシン。
  • 中央政府は各州長官、各県行政長官、各郡行政官を派遣。県行政長官が地方行政の実質的な責任者。

司法

  • ダッカに最高裁上訴部(最高裁に相当)、最高裁高裁部、各県とダッカ・チッタゴンに民事・刑事裁判所など。このほか、治安判事裁判所、女性児童裁判所 公安裁判所 環境裁判所 家庭裁判所 破産裁判所、融資裁判所、迅速裁判所制度がある。

3.政治

政体

  • 共和制。議員内閣制であり、首相が政治の最高権者。
  • 普通選挙にもとづく議会制民主主義。

主な政党

アワミ連盟
(AL)
現在の与党。建国の父、ラーマン初代大統領系。当初はイスラム政党だったが、1955年に政教分離。1992年に社会主義政策を放棄。基本的には親インド的で、米国との関係も重視。党首のハシナ現首相は第二代ラーマン首相の長女。
バングラデシュ
民族主義党
(BNP)
1978年、ジアウル・ラーマン元大統領(クーデター時の陸軍幹部で初代のラーマン氏とは別人)が民政移管に備えて結成。民族主義を掲げ中道右派。中国との関係重視。党首のカレダ・ジア氏は1981 年に暗殺されたラフマン元大統領の夫人。
国民党
(ジャティヤ党:JP)
1986年、モハマッド・エルシャド元大統領(クーデターの司令官)が民政移管前に結成した中道右派政党。現在、エルシャド派、ナジウル派、マンジュ派に分裂。
バングラデシュ
社会主義者党
(JASADI)
1972年、アワミ連盟の学生組織から生まれる。民主主義と社会主義の政策をめざす。創設時はラーマン初代大統領に反対し抑圧を受けた。

4.人口動態

 2017年の人口は1億6,467万人。国連の予測では、2030年には1億8600万人、2050年には2億200万人まで増加する。バングラデシュは国の面積が北海道のわずか約1.7倍であり、人口密度はきわめて高い。

5.産業構造と就業構造

主要産業

  • 主な産業は衣料品・縫製品産業、農業。GDPの産業分野別比率はサービス業等56.5%、製造業等29.2%、農業等14.2%(2017年、WFB)

労働力人口

  • 労働力人口は6,360万人。産業別には農業等42.7%、製造業等20.5%、サービス業等36.9%(2016年、WFB)
  • インフォーマルセクターの労働者数。男性が3240万人、女性が1490万人、合計で4730万人(87.4%)(ITUC―BC調べ)

6.経済状況

  • リーマンショックののち、2010年以降は6~7%の成長率を続けており、2017年は7.2%であった。その要因は縫製品輸出、海外労働者からの送金(2017年は約135億ドル)、農業セクターの成長などに偏っている。今後の持続的発展に向けて、産業を多角化すること、海外からの投資促進のため、電力・道路等の基礎インフラを整備することが大きな課題である。
  • 2017年は大規模な自然災害が続き、後半はコメなどの食料品価格が急騰したが、他の物価が低下したことから、消費者物価はゆるやかな上昇にとどまった。
  • 政府は独立50周年にあたる2021年までに中所得国になることを目標とする「ビジョン2021」を掲げ、全国にITを普及する「デジタルバングラデシュ」を打ち出している。

7.労働組合活動

ナショナルセンター

(NGOの活動)
  • バングラデシュには、NGO が多く存在する。中でも筆頭がBRACK(バングラデシュ農村向上委員会ブラック)である。BRACKは、すべての県に事務所を置き、農村や都市の貧困層を対象に活動している。
  • また、グラミン銀行による貧困層への比較的低金利の融資を行なう事業(マイクロクレジット)が女性の自立と貧困の改善に大きな貢献をしたとして国際的に注目を集めている。

8.支援組織、国際産業別労組(GUFs)の活動

現地協力・支援活動実施

  • 支援組織は、日本JILAF、ドイツFES、米国ACILS、フィンランドSASK、スウェーデンLO-TCO、デンマークLO、ベルギーWSM、オランダFNV、カナダCLCが事業を行う。
  • GUFsは加盟組織を通じての支援などを行う。

現地事務所設置

  • このうち、FES、ACILSは現地事務所を設置。WSMは現地リエゾン組織を持つ。

支援組織現地調整会議

  • 2012年ダッカ、2014年ダッカ、2017年ダッカ

9.労使紛争の状況

  • 労働環境:アパレル、既製服製造業・建設・船舶解体など多くの分野で、職場の安全衛生が労使紛争の主要な原因の1つとなっている。アジアの中でも、バングラデシュは労災事故(死亡・傷害)発生率が最も高い国の1つで、安全衛生環境の整備が遅れている。
  • 生計費:バングラデシュの労働市場、特にアパレル分野では、約10年以上前から、適正賃金と賃金遅配が大きな問題となっており、労使紛争の原因となっている
  • 問題が指摘されてきた、輸出加工区(EPZ)における労働組合の組織化の禁止については、政府は現在、アメリカやILOの指摘を受け、EPZにおける労働組合権を規制しないような指導を行っており、緩和の方向に向かいつつある。

10.最低賃金制度と労働・社会保障法制

最低賃金

  • 2018年12月から縫製業の月額最低賃金が約51%引き上げられ、8000タカ(約10,000円)となる。最低賃金は、政府の最低賃金委員会で審議され、原則5年ごとに、産業別の金額を決定する。対象となる産業分野は現在41であるが、基幹輸出産業である縫製業での水準が重要な指標である。

最低賃金等の推移

(単位:タカ)

  2010年 2013年 2018年12月
最低賃金
(月額)
3,000
(約3,800円)
5,300
(約6,700円)
8,000
(約10,000円)

(資料:バングラデシュ政府)

  • バングラデシュの最低賃金委員会は独立前の1959年に設置され、裁判官を委員長に、労使と有識者の代表で構成されている。

労働・社会保障法制

  • おもな法制は次の通りである。 「労働法」(2013年改正)(※)、「賃金支払法」(1936年)、「工場法」(1965年)、「産業関係法」(1969年)
    (※)は国際労働財団HPの「アジア労働法データベース」に日本語訳がある。

11.日本のODA方針(外務省・「国別開発協力方針」(2018年2月)より)

  • 基本方針:2014年の日・バ首脳会談における合意のもと、持続可能かつ公平な経済成長と貧困からの脱却を後押しするため、経済活動の活性化と克服への取り組みを支援する。
  • 重点分野:①中所得化に向けた全国民が受益可能な経済成長の加速化。バングラデシュ政府の「2021年中所得国化」の実現支援、②社会脆弱性の克服に向け、貧困、飢餓、教育、保健、ジェンダー、水・衛生などのSDGsの達成への貢献。教育では初等教育の質の向上、保健では母子保健および非感染性疾患対策などを中心に推進。

12.JILAFの事業

  • 招へい事業:1989年度から開始、今日まで82人(男性57、女性25人)の若手労組指導者を招へい(2017年度末現在)
  • 現地セミナー支援:1996年度から現地セミナーなどの事業を開始。テーマは、「参加型職場環境改善」(1994~2006年)、「生産性と労使関係等」(1995~2006年)、「労働者共済」(2002~2004年)、「組織化・若手育成」(2005、2006年)、「労使関係と組織化、女性、生産性」(2009~2012年)、「グローバル化と労働運動」(2013年)、「労使関係・労働政策」(2014~2017年)。
  • インフォーマルセクター支援:国際労使ネットワーク等を通じた組織化による草の根支援事業(SGRA)を実施。2011年には調査活動。2012年以降、具体的な事業を継続中。