台湾の基本情報

面積 3.6万平方キロ(日本の0.1倍・九州とほぼ同規模)(World Fact Book(WFB))
人口 2,357万人 (2017年、台湾政府統計)
首都 台北(269.5万人)(2016年、世界年鑑)
主要都市 新北398万人、高雄278万人、台中276万人、桃園215万人、台南189万人(2016年、世界年鑑)
主要言語 中国語(公用語)、ほか閩南語や客家系方言など
民族 漢族95%以上、少数民族2.3% (WFB)
宗教 仏教、道教、キリストなど
GDP 5,793億米ドル(2017年,台湾政府統計)  ※産業分野別比率は本文第5項参照
一人当りGDP 24,577米ドル(2017年、台湾政府統計)
労働力人口 1,180万人(2017年、ILOデータベース) ※産業分野別比率は本文第5項参照
産業別分布(%) 製造業30.2%、卸・小売15.8%、不動産8.1%、金融・保険6.5%(2015年、(公財)国際金融情報センター各国情報より)
IL0中核8条約要 (ILO非加盟)
通貨 1新台湾ドル=3.68円 1米ドル=29.55新台湾ドル(2018年前半平均)
政治体制 共和制
国家元首 蔡英文総統(2016年5月就任、任期4年)
議会 立法院
行政府 総統、行政院:行政院長のもと12部ほか  地方は6直轄市、10県
主な産業 情報・電子、化学品、鉄鋼金属、サービス業
対日貿易 対日輸出2兆8,478億円 対日輸入4兆5,578億円(2017年財務省統計)
日本の投資 1,555億円(2017年、財務省統計)
日系企業数 1,179社(2017年・外務省統)
在留邦人数 21,054人(2017年、外務省統計)
気候 亜熱帯から熱帯、3~9月雨季、10~1乾季
日本との時差 -1時間
社会労働情勢概要 ・2016年の総統選挙で、民進党の蔡英文主席が台湾初の女性総統に選出された。同時に行われた立法院(国会)選挙でも民進党が初めて単独過半数を獲得した。
・経済は2017年以降、回復の方向にある。輸出入ともに直近7年間で最大の伸びとなり、貿易収支の黒字が増加した。中国への投資は最近では減速傾向にある。
・産業構造の成熟化に伴い「空洞化」が進行している。現在は情報・電子産業、IT産業が好調で経済を支えるが、持続的成長のためには、それに続く産業の育成が課題である。
・人口は2,300万人強。このうち、約1,200万人が労働力人口で、6割以上がサービス産業で働く。2018年に改正労働基準法が施行され労働時間規制が緩和された。
・ストライキは減少し、個別労使紛争が増加。労使紛争処理の促進が課題である。
・労働組合は、ITUC加盟のナショナルセンター・中華民国全国総工会(CFL)に加えて、民主化以降は多様化が進み10程度に分立。
主な中央労働団体 中華民国全国総工会(CFL:Chinese Federation of Laour)
労働行政 中華民国行政院・労工委員会
中央使用者団体 中華民国全国工業総会、中華民国全国商業総会、中華民国工商協進会
最終更新日 2018年 9月 30日
主要統計
(GDP)
201220132014201520162017
GDP成長率 1.52.23.90.81.42.8
一人当りGDP(ドル) 20,38321,88922,61922,40022,56124,337
物価上昇率 (%) 1.90.81.2△0.31.40.6
失業率 (%) 4.24.24.03.83.93.8

1.政治と社会の動向(1945年以降)

事項
1945年 国民党政権復活、台湾省。1946年より本土で国共内戦。
1947年 台湾の国民党支配への反乱(2.28事件)、戒厳令布告。
1949年 本土で中華人民共和国成立、首都機能を北京から台北に移転。蒋介石総統
1972年 日中国交回復。日本と断交、亜東関係協会(現「日本台湾交流協会」)設立
1975年 蒋介石死去、総統代行・厳家淦。1978年、蒋経国(蒋介石長男)総統。
1979年 米中国交回復、米国と断交。国連加盟は中華人民共和国に移る。
1987年 「戒厳令」解除(世界政治史上で最長)。
1988年 蒋経国死去、李登輝代行。政治の民主化が本格化する
1990年 李登輝総統(本省人(台湾系中国人)初)。1994年、憲法改正、総統は国民の直接選挙に。
1993年 李総統、統治範囲を台湾に限定
1995年 李登輝当選、初の民選総統に。中国、総統選挙に軍事威圧(台湾海峡危機)。
2000年 陳水扁(民主進歩党)総統(~2008年)
2008年 馬英九(国民党)総統(~2016年)。立法院選挙、国民党圧勝。59年ぶり国共トップ会談。
2012年 馬英九総統再選。得票率馬総統(国民党)51.5%、蔡英文(民進党)45.6%
2014年 中国との貿易協定に反対する学生が国会選挙(ヒマワリ(太陽花)運動)。
2016年 民進党の蔡英文主席、台湾初の女性総統。民進党が初めて単独過半数を獲得。

2.国家機構

元首

  • 総統。直接国民選挙で4年毎に選出。最高権力者であり行政院長(首相)を議会の同意なしに指名でき、行政院長不信任の場合には議会を解散できる。
  • 現総統は蔡英文(民主進歩党)(2016年5月就任)

議会

  • 立法院。一院制で113議席。任期4年。立法院院長:蘇嘉全(民進党)
  • 議会の構成 (議席数・2016年1月)
    与党:民進党68
    野党:国民党35、時代力量5、親民党3、無党団結連盟1、無所属1など

行政

  • 行政院の下に中央官庁(内政部など14部、8委員会など)。行政院長:頼清徳(民進党・2017年9月就任),副院長:施俊吉。

司法

  • 最高法院、高等法院、地方法院の三審制。このほか、憲法を扱う大法官会議。

3.政治体制

政体

  • 民主共和制。三民主義(民族独立、民権伸長、民生安定)にもとづく。
  • 総統が実質的な権力を持つ。普通選挙にもとづく議会制民主主義。

主な政党

民主進歩党
(民進党)
1986年に戒厳令下で国民党に批判的な勢力が設立。1989年合法化。台湾政治の民主化を推進。基本綱領に台湾独立を掲げる。人権、環境保護、社会福祉などでリベラルな政策。2000に陳水扁が総統に当選。2016年蔡英文がはじめての女性総統に。
中国国民党
(国民党)
1894年に孫文が結成した興中会が前身。1949年本部を北京から台北に移動。1987年まで戒厳令による専制政治。同党出身の歴代総統に、蒋介石、蒋経国、李登輝、馬英九。当初は「大陸反攻」を掲げていたが、近年は、対中国融和路線。
時代力量 2014年の「ヒマワリ運動」の参加者、支持者による政党。運動を主導した法学者の黄国昌が党首。2016年の総統選挙では、民進党の蔡英文を推薦。党名は、日本語で「時代の力」を意味する。
親民党 2000年の総統選で国民党から分裂して結成。立法院に3議席。
無党団結連盟 2004年結成。中道派としての政策を主張。

4.人口動態

  • 2017年の人口は2,357万人。人口は1950年代末に1,000万人を超え、1989年に2,000万人を上回った。
  • 年齢別では、0~24歳が26%、25~54歳が46%、55歳以上が28%。高齢化が進行しており、国連の人口予測(中位)では、2030年に2,420万人、2,050年には2280万人。
  • 国民の年齢の中央値は40.7歳。平均寿命は80.2歳(男性77.1歳、女性83.6歳)、アジアでは香港、日本、韓国に次ぐ。

5.産業構造と就業構造

主要産業

  • 情報・電子産業、化学産業、鉄鋼・金属産業、サービス産業などが中心。
  • GDPの産業分野別比率はサービス産業62.1%、製造業等36%、農業等1.8%(2017年、WFB)

労働力人口

  • 労働力人口は1,180万人(2017年)。サービス産業59.2%、鉱工業・建設業35.9%、農林水産業4.9%(2016年、WFB)
  • コスト削減、生産の規模拡大による競争力維持のために人件費が安い中国へ生産拠点の移動が行われており、雇用の移転も生じている。

6.経済状況

経済情勢

  • 経済は2017年以降、回復の方向にある。2017年の成長率は2015~16年の低迷から脱して2.9%となり、2017年第三四半期から2018年第二四半期までは連続して3%を上回った。また2017年は輸出入ともに直近7年間で最大の伸びとなり、貿易収支の黒字は昨年比16.3%増の578.8億ドルとなった。
  • 国民党の馬英九政権時代には中国への積極的な投資が進められたが、2016年には、対中国直接投資(認可ベース)は、件数で前年比24.4%減、金額では前年比11.8%減であった。同年には台湾の政権交代があったが、中国における人件費や土地代の上昇などが主因といわれる。
  • 経済は好調であるが、産業構造の成熟化に伴い「空洞化」が進行しているとの見方がある。現在は情報・電子産業、IT産業が経済を支えているが限界があり、持続的成長のためには、それに続く産業の育成が課題である。

所得の動向等

  • 一人当りGDPは24,577米ドル(2017年)に達しており、アジアの大半の諸国を上回り、韓国のレベルに近づいている。

7.労働組合の組織

ナショナルセンター

  • ナショナルセンターとしてITUC加盟の「中華民国全国総工会」(CFL)がある。組織人員は約25万人。23の企業総工会(大企業・官庁産別)、18の職業総工会(中小企業労組地域組織)、17の県・市レベルの組織があるといわれる。政治的には国民党に近い。
  • 2000年に民進党政権となり自主労働組合の設立を認める「総統令」が公布され、その後、ナショナルセンターの多様化が進んだ。
  • 現在では、民進党に近い「全国産業総工会」のほか、「台湾総工会」、「中華民国全国連合総工会」などあわせて10程度の組織がある。
  • 2010年の労働組合法改正で、労働組合はこれまでの企業労働組合(旧「工会」)と職業労働組合に加えて、産業労働組合が規定された。2010時点の企業労働組合の組織率は15%程度である。
    (※)詳細は国際労働財団HPの「ナショナルセンター情報」参照。

8.援組織、国際産業別労組(GUFs)の活動

現地協力・支援活動実施

  • 台湾は先進国であり、労組支援組織による協力・支援活動は行われていない。

GUFsの活動

  • 台湾の産業別労組の多くはGUFsのメンバーとして活動しており、それを通じて途上国労組の支援も行っている。

9.労使紛争の状況

  • 台湾の労使紛争は労働紛争処理法で扱われるものが年22,000~24,000件、裁判所での取り扱いが年5000件~6000件で推移している。
  • 労働紛争処理法に基づき行政の委員会等で処理されるものは大多数が権利紛争事項に関するものである。その内容は賃金、解雇手当に関するものが多く、労働契約や労災補償関係がそれに次ぐ。
  • 2011年から改正労働紛争処理法が施行され解決プロセスが改善された。解決方法について、2010年はあっせんが80.1%、調停が18.7%であったが、2012年にはあっせんは5.1%、調停が92.2%であり少数ながら仲裁による事例もある。

労使紛争の件数

(単位:件、%)

合計 権利紛争事項 利益紛争事項
2010年 23,865件 23,595件(98.9%) 270件(1.1%)
2011年 22,629件 22,447件(99.2%) 182件
2012年 23,224件 23,088件(99.4%) 136件(0.6%)
2013年 23,927件 23,686件(98.9%) 241件(1.0%)

資料出所:台湾労働部

10.最低賃金制度と労働・社会保障法制

最低賃金

  • 最低賃金は行政院労働部の委員会で審議され、行政院が決定する。2019年の最低賃金は月額で23,100新台湾ドルに、パートタイム労働者などの時間額は150新台湾ドルにそれぞれ改定された。
  • 規定に違反した雇用主には、最高30万元(約120万円)の罰金が科されるほか、関係機関により企業名や経営責任者の氏名などが公表される。
法定最低賃金額の推移

(単位:新台湾ドル/%)

月給 上昇率 時給 上昇率
2014年 19,273
(7月より)
1.2 115 5.5
2015年 20,008
(7月より)
3.8 120
(7月より)
4.4
2016年  ― 126
(10月より)
5.0
2017年 21,009 5.0 133 5.6
2018年 22,000 4.7 140 5.3
2019年 23,100 5.0 150 7.1

※実施月の示されないものは1月実施

資料:台湾労働部

労働・社会保障法制

  • 主な法制はつぎのとおりである。
    「工会法」(労働組合法・2011年、2016年改正)、「労働協約法」(1932年、2011年改正)
    「労資争議処理法」(1987年、2011年改正)、「労働基準法」(1984年、2009年、2016 年、2018年改正)、「男女雇用機会均等法」(2002年、2008年改正)、「労働安全衛生法」(2002年)、「労働保険法」(2009年)、「雇用保険法」(2009年)、「国民年金法」(2008年)

11.その他

JILAFの事業

  • 招へい事業:1991年にはじめ、1992年、2004年、2006年に実施。これまで7名(男性6名、女性1名)の若手労組指導者を招へい。
  • 台湾の労働組合はITUC-APに加盟しており、JILAFは、連合を通じて、また国際的な支援組織の会合などを通じて、交流を続けている。1991、1992年には日本に代表を招いている。