香港の基本情報

面積 1,108平方キロ(東京都の約半分)
人口 737万人 (2017年、WFB(The World Fact Book))
首都
主要都市
主要言語 広東語88.9%、英語4.3%、北京語1.9%(いずれも公用語)など(2016年、WFB)
民族 中国人92%、フィリピン人2.5%、インドネシア人2.1%ほか (2016年、WFB)
宗教 仏教・道教のほか、キリスト教、イスラム教等
GDP 3,417億米ドル(2017年、ジェトロ) ※産業分野別比率は本文第5項参照
一人当りGDP 46,109米ドル(2017年、ジェトロ)
労働力人口 397万人(2017年・WFB) ※産業分野別比率は本文第5項参照
産業別分布(%) サービス業90.0%(貿易 18.0%、金融・保険16.8%、不動産・法人サービス10.6%(2015年、(公財)国際金融情報センター各国情報より)
IL0中核8条約要 批准総数49、中核8条約:批准6、未批准2(100号、111号)(2018年6月、ILO)
通貨 1香港ドル=13.86円、1米ドル=7.84香港ドル(2018年前半平均、IMF)
政治体制 中国特別行政区(一国二制度)
国家元首 習近平・中国国家主席
議会 一院制(立法会70議席)
行政府 香港特別行政区政府:行政長官のもと各部、18の行政区
主な産業 金融業、不動産業、観光業、貿易業
対日貿易 対日輸出2046億円 対日輸入3兆9,741億円(2017年財務省統計)
日本の投資 2,646億円(2017年、財務省統計)
日系企業数 651社(2018年、香港日本人商工会所会員数)
在留邦人数 25,572人(2017年10月、外務省統計)
気候 熱帯夏雨気候、4-9月雨季
日本との時差 −1時間
社会労働情勢概要 ・政治では基本法が約束する自由な普通選挙が、国会、地方議会ともに実現しておらず、民主派は危機感を強めている。
・経済成長は堅調で株価指数も上昇している。国際金融や物流のビジネスの好況と、中国との経済関係の強化が背景にあるが。
・製造業の多くは1990年代前半に中国本土への移転が進み、GDPに占める割合は約6%。貿易、金融サービス産業がGDPの90%以上を占める。
・本土からの資金流入で不動産価格が高騰し、住宅を購入できない低所得層の増加が社会問題となっている。IMFはバブル崩壊の可能性も指摘している。
・労働組合は民主派と親中国派に分かれており、それぞれ与野党を支持している。民主派は労働基本権の確保に向けて取組んでいるが、十分な力を発揮できる状況ではない。
・2011年に最低賃金制度と低賃金労働者の労働時間記録の義務付けがはじまり、2017年には4回目の見直しが行われた。
主な中央労働団体 香港労働組合連盟(HKCTU:Hong Kong Confederation of Trade Unions)
香港・九龍労働組合評議会(HKTUC:Hong Kong & Kowloon Trade Union Coundil)
労働行政 香港特別行政区 労工・福利局
中央使用者団体 香港商工総会(Hong Kong General Chamber of Commerce)、香港産業連盟(Federation of Hong Kong Industries)、中国製造業協会(Chinese Manufacturers’ Association)
最終更新日 2018年 9月 30日
主要統計
(GDP)
201220132014201520162017
GDP成長率 1.53.02.32.42.13.8
一人当りGDP(ドル) 36,67638,60539,87142,32743,24046,109
物価上昇率 (%) 4.13.54.42.42.01.5
失業率 (%) 3.33.23.23.33.43.1

1.政治と社会の動向(1945年以降)

事項
1945年 日本軍占領終了、英国復帰。1946年より国共内戦。
1949年 本土で中華人民共和国成立。本土から多数の企業、資本家が香港に移転
1950年 英国、中華人民共和国承認
1960年代 輸出型軽工業発展、「アジアの四龍」の一つ
1967年 本土で文化大革命、香港暴動発生
1982年 中国登小平主席、英国サッチャー首相と会談、香港返還を要求
1984年 中英共同声明、香港返還確定。移民ブーム
1990年 「香港基本法」50年間の「一国二制度」など
1992年 パッテン英総督就任、直接選挙推進など
1997年 香港返還。董建華初代行政長官。アジア通貨危機。ICFTU、香港連絡事務所(IHLO)設置。
1998年 第1回立法会選挙、親中派過半数
2007年 中国全人代常務委、2012年の普通選挙否定、2017年は容認。
2012年 行政長官選挙と立法会選挙。梁振英行政長官(親中派2人の選挙)。議会では親中派過半数
2014年 中国全人代常務委、行政長官選挙の民主派候補を排除。「雨傘運動」による抗議拡大。
2017年 行政長官に親中派・林鄭月娥当選。返還20年式典に習近平主席参加、民主派大規模デモ。
ASEANとのFTA調印。AIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加。
2018年 中国大陸との直通高速鉄道(広深高速鉄道)開通。立法会補選で親中派2、民主派2。

2.国家機構

元首

 中国・習近平国家主席

議会

  • 立法会(香港特別行政区立法会)
  • 一院制で70議席・任期4年。35議席が直接選挙。35議席は職能団体等選出。
  • 議会構成と議席数(2018年3月現在)
    -与党系・親中派:40 民主建港協進連盟(12)、香港経済民主連盟(7)、香港工会連合会(5)、
     自由党(4)、ほか(5)、無所属7
    -野党系・民主派:26 民主党(7)、公民党(5)、公共専業連盟(2))、人民力量(1)、労働党(1)
     社会民主戦線(1)、その他(4)、無所属(5)
    -中立・その他2、欠員2
    「香港基本法」は「2007年以降、全議席を直接選挙枠に移行できる」としており、中国全人代常務委は2017年選挙からとしたが、民主派は候補から除外された。

行政

  • 香港政府のトップは行政長官であり、その下の「行政会議」が重要決定を行う。中央官庁は「政府総部」と「執行部門」で構成される。
  • 「政府総部」には12の部門(決策局)があり、労働行政は、「労工および福利局」により行われる。「執行部門」は、警察、入管、税務、税関などの部門よりなる。

司法

  • 最高裁、高裁、地裁の三審制。

中国中央政府との関係

  • 香港の外交、防衛は中国中央政府が担当し、香港の自治には含まれない。香港に中央政府代表部が置かれ、人民解放軍香港部隊が派遣されている。
  • 行政庁長官は選挙人による間接選挙で選ばれ、中国中央政府が任命する。主要閣僚など高官は行政長官が指名し、中央政府が任命する。

3.政治体制

政体

  • 中華人民共和国・香港特別行政区。
  • 「香港基本法」(1990年)による「一国二制度」により制限はあるが民主主義と三権分立が規定されている。

主な政党

民主建港協進連盟
(民建連)
左派親中派の最大与党。1992年、本土系の労働組合、福祉団体など基盤に結成。政策は中国中央政府に近く、反政府運動を取り締まる治安条例に賛成、本土系商工業者の支持も受ける。
民主党 民主派を代表する政党。1994年に、香港民主連盟(1990)、匯點(1983)を統合して発足。2008年には「前線」と統合。返還前には優勢であったが、最近は立法会で7議席まで縮小。地方選(区議会)の直接選挙枠では最大勢力。
経済民主連盟 右派親中派。2012年、親中の財界人を主体に設立。
公民党 民主派。普選など全面民主化を求め2006年結成。
自由党 民主派に反発する財界人などが1992年結成。新自由主義政策。

4.人口動態

  • 2017年の737万人。年齢別比率は24歳以下が23%、25歳以上54歳までが45%、55歳以上が33%である。国連による将来人口の予測(中位)では2030年に795万人、2050年に825万人である。
  • 香港島北部の住宅地と九龍半島に人口が集中している。香港全体の面積の12%弱の地域に、香港総人口の半数以上が居住している。
  • 人口のうち最も多いのは「華人」と呼ばれる中国系で92%。次いでフィリピン人とインドネシア人がそれぞれ2%など。

5.産業構造と就業構造

主要産業

  • 金融業、貿易業、不動産業、観光業などが中心。GDPの産業別比率はサービス業等92.7%、製造業等7.2%、農業等0.1%(2017年、WFB)。

労働力人口

  • 労働力人口は397万人である(2017年)。
  • 民間の労働力の産業別比率はサービス産業94.2%、製造業等5.8%である。サービス産業の内訳は貿易・卸売・レストラン・ホテル等が54.5%、金融・保険・不動産が12.5%、運輸・通信が10.1%、地域・社会サービスが17.1%である(2013年、WFB)。
  • 失業率は3%台が続いており、労働不足が問題となっている。政府見通しでも労働力人口は減少傾向にあり、人手不足を訴える経営者が半数以上である。

6.経済状況

経済情勢

  • 経済は、2017年には3.8%の成長と6年ぶりの水準になり、株価指数もハンセン指数が一時、3万ポイントを超え10年ぶりの高騰をみせた。国際金融と物流の拠点としてのビジネスの好況と、中国との経済関係の強化が背景にある。
  • 一方、不動産価格が2000年の三倍を超え、住宅を購入できない「ビル屋上生活者」(住居を諦めビルの屋上などの仮設で生活する者)が社会問題となっている。中国本土の資本が流入し高額で買収していることが要因といわれ、行政院は公共分譲住宅の供給を増やすとしている。なお、IMFはバブル崩壊の可能性も指摘しており、その防止は重要な政策課題である。
  • 香港は中国政府の「一帯一路」の戦略拠点と位置付けられている。中国の李克強首相は、香港をマカオ、深千、広州とともに人口6000万人程度の「大湾区」に統合する構想を発表した。香港は金融と専門的サービス産業に特化すべきとしており、IT・ハイテクなどをこの地域の主要産業として育成できるかが課題である。

所得の動向等

  • 一人当りGDPの増加が続き、2017年は46,109米ドル。中東を除くアジアではトップクラス、シンガポールに次いで2位のレベルである。

7.労働組合の組織

ナショナルセンター

  • 労働組合のナショナルセンターは、ITUC加盟で民主派の香港労働組合連盟(HKCTU)、香港・九龍労働組合評議会(HKTUC)がある。また、中国本土系の香港工会連合会(HKFTU)がある。
  • 香港労働組合連盟(HKCTU)は香港民主派系、国際労働基準の尊重と政治の民主化を求めている。組織人員約19.7万人、5産業別組織、92加盟組合。
  • 香港・九龍労働組合評議会(HKTUC)は国民党系。孫文の「三民主義」に立脚している。組織人員1.3万人、17加盟組織。
  • このほか、親中系の香港工会連合会(HKFTU)があり組織人員では香港では最大の約38万人。中華全国総工会と密接な関係を持つ。
    (※)詳細は国際労働財団HPの「ナショナルセンター情報」参照。

8.支援組織、国際産業別労組(GUFs)の活動

現地協力・支援活動実施

  • 香港は先進国の扱いであり、労組支援組織やGUFsによる途上国向けの支援活動は行われていない。
IHLO(ITUC香港連絡事務所)
  • 香港の中国返還に伴い、旧ICFTUが現地加盟組織などを支援するため、1997年に設置したもの。ITUCとGUFsが活動を引き継いでいる。

9.労使紛争の状況

  • 労使紛争の解決は、1)当事者の協議を通じた解決、2)労働行政(労工処)による調停・仲裁、3)労使裁判所などのステップで行われる。労使裁判所は利益紛争を扱う。
  • 労使関係は今日では個別労働紛争が増加している。集団的労働紛争では、2013年3月には港湾労働者450人が賃金・労働条件の改善を求めて大規模なストライキを行ったことが知られる。これは労働行政の仲立ちを経て、賃金引上げや職場環境改善などにより、40日で収束した。

10.最低賃金制度と労働・社会保障法制

最低賃金

  • 香港は2011年5月から最低賃金制度を導入した。現行の法定最低賃金は2017年5月に改定されたもので、1時間当たり34.5香港ドル(約495円)。

• 最低賃金等の推移

(単位:香港ドル)

  2011年5月 2013年5月 2015年5月 2017年5月
最低賃金
(時間額)
28.0 30.0 32.5 34.5
労働時間記録義務付け
労働者賃金上限(月額)
11,500 12,300 13,300 14,100

(資料:香港政府労工処)

  • 最低賃金は「最低賃金法」(2011年)に基づき決定される。対象は継続的な雇用(月給、日給、臨時労働者、パートタイム)などである。ただし住み込みの家政婦、インターン学生には適用されない。また、障がい者には仕事の評価などについて特別な配慮も与えられている。
  • 一方、雇用主には給与月額が一定以下の従業員について労働時間の記録を残すことが義務付けられている。その金額の上限の推移は表の通りである。
労働・社会保障法制
  • おもな法制は次の通りである。
    「労働組合法」(2000年)、「雇用法」(1990年、2000年改正)、「労働安全衛生法」(2000年)
    「破産時賃金補償法」(2000年)、「労働者補償法」(2000年)、「最低賃金法」(2011年)

11.JILAFの事業

  • 招へい事業は1989年から実施。これまでに、77人(男性50人、女性27人)の若手リーダーを招いている。(2017年度末現在)
  • 招へい事業のそれまでの参加者を対象に現地で実施する「普及セミナー」を2012年に実施した。(参加者41人)。