スリランカの基本情報

面積 6.6万㎢(日本の0.17倍)(2017、WFB(The World Fact Book)
人口 2,088万人 (2017、国連推計)
首都 スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ12.8万(2014年)(世界年鑑)
主要都市 コロンボ70.6万人(2015年)、キャンディ9.8万人(2012年)(世界年鑑)
主要言語 シンハラ語、タミル語(ともに公用語)、英語
民族 シンハラ人74%、タミル人16.0%、など (2012年、WFB)
宗教 仏教70%、ヒンドゥ教12.6%、イスラム教9.7%(2012年、WFB)
GDP 871億米ドル(2017年、スリランカ政府統計) ※産業分野別比率は本文第5項参照
一人当りGDP 4,064米ドル(2017年、スリランカ政府統計)
労働力人口 856.7万人(2017年、ILOデータベース)  ※産業分野別比率は本文第5項参照
産業別分布(%) サービス業56.6%、鉱工業26.2%(うち製造業15.6%)、農林水産業7.9%(2015年、(公財)国際金融情報センター各国情報より)
IL0中核8条約要 批准総数43、中核8条約:批准8(すべて批准)(2018年6月・ILO)
通貨 1スリランカ・ルピー(LKR)=0.70円 1米ドル=156.3LKR(2018年前半、IMF)
政治体制 共和制
国家元首 マイトリーパーラ・シリセーナ大統領(2015年1月就任・任期5年)
議会 一院制(定数225議席)
行政府 大統領、首相のもと50省 地方行政は9州(州議会あり)と25県
主な産業 農業、繊維産業
対日貿易 対日輸出283.1億円 対日輸入983.6億円(2017年財務省統計)
日本の投資 52億円(2017年、財務省統計)
日系企業数 130社(2016年7月、ジェトロ・コロンボ事務所)
在留邦人数 767人(2017年、外務省統計)
気候 熱帯性気候、乾季12月~3月(コロンボ)
日本との時差 -3.5時間 
社会労働情勢概要 ・政治面ではタミル解放戦線との内戦が終結し治安は大幅に改善したが、宗教対立は依然として続いており、今後の不安要因である。
・経済は、2015年以降、4%前後の成長を続け安定しているが、産業の高度化や輸出産業の育成が遅れており、IMFからの支援を受けている。消費者物価は2015年に3%まで低下したが、2016年以降は付加価値税の増税や自然災害の多発で上昇傾向にある。
・国民生活は2017年に一人当たりGDPが4000米ドルを超え統計的には中進国のレベルであるが、都市部と地方の格差は拡大している。
・繊維を中心とする製造業の増大などにともない、労働仲裁裁判所の取り扱い件数が伸びているなど、労使紛争は増加傾向にある。
・労働組合は多国籍企業での労使紛争の増加、高い若年失業率、インフォーマルセクターの課題等に直面している。政党との結びつきが強く政治方針が連帯を阻みがちである。
主な中央労働団体 セイロン労働者会議(CWC)
スリランカ全国労働組合連盟」(NTUF)
スリランカ・ニダハス・セワカ・サンガマヤ(SLNSS)
労働行政 労働・労働組合省、技術・技術教育・雇用省
中央使用者団体 セイロン使用者連盟(EFC)
最終更新日 2018年 9月 30日
主要統計
(GDP)
201220132014201520162017
GDP成長率 6.47.27.45.04.53.1
一人当りGDP(ドル) 2,8373,6103,8523,8433,8574,064
物価上昇率 (%) 7.56.93.33.84.07.7
失業率 (%) 4.04.44.34.74.44.2

1.政治と社会の動向(1945年以降)

事項
1948年 英連邦内の自治領セイロンとして独立
1956年 バンダラナイケ首相(スリランカ自由党:SLFP)。シンハラ語のみを公用語化。
1972年 英連邦内自治領から完全独立。国名をスリランカ共和国に改称
1978年 タミル人の権利を容認するジャヤワルデネ大統領(統一国民党:UNP)。現国名に改称
1983年 インド支援の「タミル・イーラム解放の虎」(「解放戦線」)、北部の分離独立要求。内戦へ。
1987年 スリランカ・インド和平協定、インド平和軍進駐。シンハラ語に加えタミル語を公用化
1994年 総選挙でSLFP勝利。1998年、解放戦線を非合法化。
2001年 総選挙でUNPが勝利。シクラマシンハ首相就任
2002年 解放戦線との和平交渉、停戦合意。2003年、和平交渉が決裂。
2004年 総選挙でSLFP中心の統一人民自由連合(UPFA)勝利。地震津波で3万人以上が犠牲
2005年 対解放戦線強硬派のラージャパクサ大統領(UPFA)就任。内戦が激化。
2009年 解放戦線敗北宣言、大統領が内戦終結宣言。それまでに10万人死亡、避難民30万人(国連)
2010年 大統領再選、総選挙でUPFA圧勝。憲法改正で大統領の三選禁止。
2011年 内戦時の非常戒厳令、6年ぶり解除。人権問題で欧米から批判。
2015年 総選挙。UNP第一党。SLFPとUNPによる「国民政府」実現。双方から大統領と首相。
2017年 中国にコロンボ港運営権を99年貸与。野党連合は反対、与党にも亀裂。

2.国家機構

元首

  • 大統領。国民投票で選出され任期5年、3選禁止。
  • 現職はマイトリバラ・シリセナ(UNP系)(2015年1月選出)

議会(国会)

  • 一院制(定数225議席、任期5年)

(議席:2015年8月総選挙)
統一国民党(UNP)106、統一人民自由連合(UPFA)95、タミル国民連合(TNA)
スリランカ人民戦線(JVP)6、など

行政

  • 内閣は大統領が任免。首相は、ラニル・ウィクラマシンハ(2015年1月)
  • 大統領、首相のもと50省

地方行政

  • 9州(州議会あり)と25県。各州には州議会。

司法

  • 初等裁判所、下級裁判所、地方裁判所、高等裁判所が第一審裁判所であり、上位に上訴裁判所、最上位に最高裁判所がある。最高裁判所は基本的人権に関する訴訟では独占的な裁判権を保有する。 労働問題は労働審判で評決が下される。

3.政治体制

政体

  • 共和制
  • 普通選挙にもとづく民主主義
  • 大統領が政治的実権を持ち首相を任免

主な政党

統一国民党
(UNP)
1946年結成。中道右派政党。スリランカ自由党(SLFP)と二大政党を形成。自由主義経済を推進。タミル人の権利を容認。ウィクラマシンハ首相が党首。
統一人民自由連合
(UPFA)
2004年結成。スリランカ自由党(SLFP)中心で中道左派。SLFPは1951年結成、バンダラナイケ首相など。タミル人などイスラム勢力と対決。シリセナ大統領が代表。
タミル国民連合
(TNA)
2001年結成。少数派タミル人の民族自決を掲げる。解放戦線の内戦敗北後は、「武装闘争は放棄し、民主的プロセスで民族自決権獲得をめざす」としている。
人民解放戦線
(JVP)
1965年結成。シンハラ民族主義の左翼過激派組織。2008年に路線対立から「国民自由戦線」(NFF)が分離。

4.人口動態

  • 総人口:2,241万人。国民年齢の中央値は32.8歳(2017年・WFB)。国連の推計(2017年)では将来人口(中位推計)は安定しており、2030年が2,150万人、2050年が2080万人である。

5.産業構造と就業構造

主要産業

  • コメと三大プランテーション作物(紅茶、ゴム、ココナツ)などの農業と繊維業。工業化も進展し最近の最大輸出品目は衣類製品。
  • GDPの分野別比率は、サービス産業61.7%、製造業等30.5%、農業等7.8%(2017年、WFB)

労働力人口

  • 労働力人口:856.7人。産業別の就労者割合はサービス産業47%、農業等27%、製造業等26%(2016年、WFB)。
  • 労働者の多くが日雇労働者と農業水産業などのインフォーマルセクターで就労している。

6.経済状況

経済情勢

  • スリランカ経済は、2015年以降、4%前後の成長で推移している。消費者物価は2015年に3%まで低下したが2016年以降は付加価値税の増税や自然災害の多発で上昇傾向にある。失業率は4%台で安定している。
  • 経済の高度化や輸出産業の育成が不十分であり、対外収支は大幅な赤字が続いている。政府は2016年にIMFから15億ドルの信用供与を得て、2017年に開発計画「スリランカ2025」を策定、また反対論を押し切る形でコロンボ港の運用を中国に長期貸与した。
  • 主要輸出品は衣料品、紅茶、ゴム。輸入品は繊維、石油、機械、食料。主な貿易相手国はインド、米国、中国など。2017年には輸出額が4年連続で100億ドルを上回り10.2%増となったが、輸入額は9.4%増の210億ドルなり、貿易収支の赤字幅は拡大した。また,海外からの観光客数は治安の改善を受けて増加しており、2016年は四年連続で100万人を上回った。

所得の動向等

  • 一人あたりのGDPは2017年に4千ドルを超え、4,064米ドルとなった。
  • コロンボのある西部州とその他の地域の格差が大きい。上位20%が富の50%以上を保有しており、所得の偏在は大きく、改善傾向が見られない。

7.組合活動

ナショナルセンター

  • ナショナルレベル:CWC、NWC、NTUF、SLNSSがITUCに加盟。
  • ITUC加盟の主要なナショナルセンターの概要はつぎの通り。
    -セイロン労働者会議(CWC:Ceylon Workers’ Congress) 1941年前身設立、1950年に現組織。約19万人。農業プランテーション、教員、公務員など5産別。
    -スリランカ全国労働組合連盟」(NTUF:National Trade Union Federation)2004年設立。プランテーションと製造業労働者を組織。2連合体、8組合と3地方組織、約27万人。
    -スリランカ・ニダハス・セワカ・サンガマヤ(SLNSS: Sri Lanka Nidahas Sevaka Sangamaya)1958年結成。運輸、電力、農園、商業サービスなど4連合会、28地区。約8.2万人。
    ※詳細は国際労働財団HP参照
  • スリランカの労働組合は、1940年代に独立運動の前線で活動していた頃に、大きな政治的役割を担っていた。現在も労働組合と政治との結びつきが強い傾向にある。
  • CWCは労働組合であると同時に政治政党でもある。現会長のムトゥ・シヴァリンガム氏は経済開発省副大臣、事務局長のアルムガン・トンダマン氏は、畜産・農村開発省の大臣である。

8.支援組織、国際産業別労組(GUFs)の活動

現地協力・支援活動実施

  • 支援組織:JILAF(日本)、ACILS(米国)、FES(ドイツ)
  • 国際産別労組(GUFs): IUF、ITF、IMF、PSI、EI、UNI、IndustriALL、IFJ

現地事務所設置

  • ACILS(米)
  • FES(独)

9.労使紛争の状況

  • スリランカでは、近年、労働争議は減少の傾向にある。労使紛争について労使間の交渉による解決の事例が増加したことなどが挙げられている。
  • 一方、輸出加工地区(EPZ)においては、使用者が解雇などの報復措置によって労働組合結成を阻止するために労働者の組織化が難しくなっている。 EPZには、労働組合指導者が立ち入ることができない。労働監督官も使用者側からの事前許可なく立ち入りはできない。
  • 労働争議の解決に向け労働仲裁裁判所が設置されている。近年は労働者から労働契約や賃金支払いに関する労働者からの提訴が増加している。

10.最低賃金制度と労働・社会保障法制

最低賃金

  • 最低賃金は、2016年に定められた月額10,000ルピー(約7,000円)が継続している(2018年9月現在)
  • 最低賃金は、政府の賃金委員会が毎年、経済や生活費の動向などを勘案して決定する。

労働・社会保障法制

  • 主な法制はつぎの通りである。
    「労使争議法」、「解雇法」、「労働組合法」。「工場法」、「店舗および事務所労働者に関する法律」、「女性・若年者・児童雇用法」。「退職金法」「解雇法」「賃金委員会法」。「社会保険法」「被雇用者準備基金」、「被雇用者信託基金」

11.日本のODA方針 (外務省・「国別開発協力方針」(2018年1月)より)

  • 基本方針:経済が着実に成長しているスリランカの一層の成長と安定化を促すため、質の高い成長のための基盤・制度整備を中核とした支援を行う。
  • 重点分野:①運輸インフラの整備、安価な電力や水の安定供給などをはかり質の高い成長を促進、②農業を中心とした産業振興・人材育成、住民生活に直結するインフラ整備、女性の経済力強化など包摂性に配慮した開発支援、③保健・医療など社会サービス基盤の改善、災害対策の強化など脆弱性の軽減を進める。

12.JILAFの事業

  • 招へい事業:1989年から今日まで49人(男性33人、女性16人)の若手労組指導者を招へい(2017年度末現在)。
  • 現地支援事業:2010年度より現地支援事業を実施。テーマは「労使関係・労組基礎」(2010、2011年)、「労使関係・雇用契約」(2012年)、「グローバル化と労働運動」(2013年)、「労使関係・労働政策」(2013~2016年)。2012年度まではCWCとの共催。2014年度よりCWC、NTUF、SLNSSと共催で開催。