シンガポールの基本情報

面積 719.2平方キロ(東京都の1.15倍)(2017年、WFB(The World Fact Book.)
人口 570.9万人 (2017年、国連推計)
首都 シンガポール(都市国家)
主要都市
主要言語 国語マレー語、公用語英語、中国語、タミル語
民族 中国系74%、マレー系13%、インド系9%、その他3% (2017年、WFB)
宗教 仏教33%、キリスト教19%、イスラム教14%、道教10%、ヒンズー教5% (WFB)
GDP 3,230億米ドル(2017、シンガポール政府統計局) ※産業分野別比率は本文第5項参照
一人当りGDP 5万7,722(2017シンガポール統計局)
労働力人口 366万人(2017年、WFB) ※産業分野別比率は本文第5項参照
産業別分布(%) サービス業67.9%、製造業17.8%、建設業4.8%(2015年、(公財)国際金融情報センター各国情報より)
IL0中核8条約要 批准総数20、中核8条約:批准6、未批准2(87号、111号)(2018年6月、ILO)
通貨 1シンガポール・ドル(SGD)=81.93円、1米ドル=1.33SGD(2018年前半、IMF)
政治体制 共和制、議院内閣制
国家元首 ハリマ・ヤコブ大統領(2017年9月就任・任期6年) 
議会 一院制 89議席
行政府 首相のもとに首相府、18省。リー・シェンロン首相(2004年8月就任)
主な産業 製造業、商業、ビジネス・サービス、運輸通信業
対日貿易 対日輸出9,565億円 対日輸入2兆5406億円(2017年財務省統計)
日本の投資 7893億円(2017年、財務省統計)
日系企業数 1,199社(外務省統計・2017年10月現在)
在留邦人数 36,423人(2018年、外務省統計)
気候 熱帯モンスーン気候。10~3月雨季
日本との時差 -1時間
社会労働情勢概要 ・政治では、建国以来、人民行動党(PAP)が圧倒多数の政権政党であり、政治の安定と経済の成長を維持し、高度に管理的な社会を形成している。
・経済は、金融業や半導体産業などを中心に成長をつづけ、一人当りGDPは5万ドルを超え日本を上回る。政府はデジタル化への対応など経済構造の転換を打出している。
・労働分野では高齢化への対応が課題で雇用上限年齢を67歳に延長、労働者の技能訓練と企業の生産性向上に取り組む。外国人労働対策は制度改正により人口増を抑制。
・政労使の三者構成主義が社会的課題の解決に機能しており、政府の各種施策に労使が参加している。
・労働組合は、シンガポール全国労働組合会議(NTUC)が、唯一のナショナルセンター。
主な中央労働団体 シンガポール全国労働組合会議(NTUC: National Trade Union Congress)
労働行政 人材開発省(MOM:Ministry of Manpower)
中央使用者団体 シンガポール全国使用者連盟(SNEF:Singapore National Employers Federation)
最終更新日 2018年 9月 30日
主要統計
(GDP)
201220132014201520162017
GDP成長率 3.94.43.31.92.03.6
一人当りGDP(ドル) 53,51555,97956,28454,94155,24357,722
物価上昇率 (%) 4.62.41.0△0.5△0.50.6
失業率 (%) 2.01.92.01.92.12.2

1.政治と社会の動向(1945年以降)

事項
1948年 英領マラヤ連邦形成、主都となる
1954年  人民行動党(PAP)結成。1959年、自治政府発足、PAP政権
1960年代~ 欧米製造業の輸出加工基地化促進
1963年 マレーシア連邦成立に参加し、英国から独立
1965年 マレーシア連邦から分離し、今日のシンガポールが独立
1965年 ASEAN加盟(5つの原加盟国の一つ)
1980~90年代 東南アジアの金融センター化推進。1989年、APEC結成と同時に加盟。
1990年 ゴー・チョクトン首相就任
1995年 WTO設立と同時に加盟 1996年WTO第一回閣僚会議を主宰
2000年代 国際金融市場として成長
2002年 日本とのFTA締結
2004年 リー・シェンロン首相就任
2004年 米国とのFTA締結
2011年 総選挙、野党が過去最大議席(87議席中6議席)
2013年 EUとのFTA締結に合意
2015年 リー・クアンユー逝去、総選挙で与党・人民行動党(PAP)が圧勝
2017年 大統領にハリマ・ヤコブ(前国会議長・元労組役員)就任

2.国家統治機構

元首

  • 大統領(普通選挙で選出、任期6年)
  • 権限等 政治的実権は首相。ただし政府施策の財政規律維持のための差止権などを持つ。
  • 現職 ハリマ・ヤコブ第8代大統領 2017年9月就任

議会

  • 一院制、89議席(選挙区選出議員数、任期5年・解散あり)
    -16選挙区の中規模選挙区+単純小選挙区(13人)+全国選挙区(1人)
  • このほか、憲法、重要法案への投票権を持たない非選出議員と任命議員が12名。
  • 議長 チュアンレン・チェン(PAP) 2017年9月より
  • 議席(2015年9月の総選挙で選挙区選出の89議席中)
    -与党:人民行動党(PAP):83議席
    -野党:労働者党 6議席

行政

  • 首相:大統領に任命される。現在はリー・シェンロン(李顕龍)氏。2004年8月就任。初代首相、リー・クアンユーの長男。
  • 政府は首相府、18省庁ほかで構成。

司法

<裁判>
  • 最高裁判所、下級裁判所(The Subordinate Courts of Singapore)の二審制。最高裁判所には、高等法廷と上訴法廷があり、後者が事実上の最終上訴審。下級裁判所には、28の地区法廷と4の治安裁判官法廷のほか、検死官法廷、少年法廷などがある。
<検察と警察>
  • 通常の国より強い権限を持ち、捜査や対応も厳しい。スーパーでの万引きの初犯でも刑務所に入ることがある。日本では犯罪とされない行為でも有罪となるものがある。鞭打ち刑があり、日本でいう重罪のほか、公共物への落書きなどに適用されることがある。

3.政治体制

政体

  • 立憲共和制
  • 政治での実質的な最高権力者は首相。

主な政党

人民行動党
(PAP)
1954年、リー・クアンユーなどより結成。1965年のシンガポール独立から今日まで圧倒多数の政権政党で、4回の総選挙では議席を独占した。高度成長、国民福祉の向上、管理社会の構築を主導。歴代書記長はいずれも首相となる。書記長:リー・シェンロン氏。
労働者党
(WP)
1957年結成。低所得層を支持母体とする中道左派政党。2011年と2015年の総選挙では過去最多となる6議席を獲得している。ラウ・ティアキアン書記長。
シンガポール民主党
(SDP)
1978年にチャム・シートンらが結成。リベラル路線を掲げてPAP政権を批判。1991年の総選挙では野党4議席中3議席を獲得。スー・スンジュアン書記長。
シンガポール人民党
(SPP)
1993年、路線対立によりSDPの創設者らが離党して結成。1997年の総選挙ではWPと野党戦線を形成し議席を確保した。チャム・シートン書記長。

4.人口動態

  • 都市国家であり人口は571万人(2017年)。国連の人口予測(中位)では、人口は緩やかに増加し2024年に650万人でピークを迎えその後は減少期に入る。
  • 人口の年齢区分別比率は、24歳以下が29%、25歳から54歳までが51%、55歳以上が20%である。ASEAN諸国では高齢化が最も進行しており、2050年代には、60歳以上人口が4割を超えると予想されている(国連など)。2017 年7 月から高年齢労働者の再雇用の上限年齢が65 歳から67 歳に引上げられた。また、父親の育児休暇の取得日数が2 週間に拡大された。
  • 総人口の3割以上を外国人居留者が占めている。

5.産業構造と就業構造

主要産業

  • サービス産業が中心。GDPの産業分野別の比率をみると、サービス産業等75.2%、製造業等24.8%、農業等0%(2017年、WFB)。サービス産業の内訳は卸売・小売業24.7%、ビジネスサービス20.8%、金融・サービス18.7%、輸送・保管10.1%、情報・通信5.9%など(2018年)。

労働力人口

  • 労働力人口は、2004年以降は増加を続けえおり、2017年は366万人。2005年まで減少傾向にあった労働力率もその後は上昇している。2017年の労働力の業種別分布はサービス業等73.7%、製造業等25.6%、農林業等0.7%である(居住者のみ、WFB)。
  • 外国人労働力人口は、増加傾向が続いているが、伸びは鈍化している。2010 年以降、政府は外国人の雇用規制を段階的に強化しており、2017 年1 月から外国人の雇用許可(EP)の発給用件を厳格化した。2017年は約137万人であり、労働力人口に占める割合は約37%であった。

6.経済状況

経済情勢

  • 2014年以降、中国経済の減速などの影響により、成長率は2%台に低下した。2017年には3.6%に回復したが、半導体などの需要増があり、政府の唱える構造改革が及んだものではない。
  • 政府は経済成長の持続には産業の変革と人材の高度化が必要として、2017年に「未来経済評議会」を設置し、イノベーションと企業能力の強化、強力なデジタル力の構築、経済構造の転換などを打ち出した。リー首相は首相府に「「スマート国家・デジタル政府オフィス」を置きそれらの推進に力を入れている。
  • 人口は外国人労働の規制により増加は抑制された。一方で高齢化は進展しており、国民の技能や企業の生産性向上をはかる取組みが今後の経済成長のカギを握っている。

所得の動向等

  • 一人当りGDPは、2010年に日本を抜き、2017年には5万7千ドル台に達した。これは一部の産油国などを除きアジアでは最高額である。2017年の日本の一人当たりGDPは3万8千ドル。

7.労働組合の組織

ナショナルセンター

  • 全国労働組合会議(National Trades Union Congress:NTUC)が、シンガポールの唯一のナショナルセンターである。結成は国家の創設以前、英国領のシンガポール自治州であった1959年である。加盟組織は89であり、主要な業種は、①電機・電子、②商業、③銀行・保険、④公務、⑤看護、⑥運輸、⑦教員、⑧海運である。
    (※)詳細は国際労働財団HPの「ナショナルセンター情報」参照。
    https://www.jilaf.or.jp/nc_data/nc.php
  • シンガポールでは労働組合員数は増加傾向。推定組織率は2010年以降、増勢に転じている。

労働組合員数と組織率の推移

単位:1000人/%

2000 2005 2010 2013 2014 2015 2016
組合員数 314 450 550 655 687 719 741
組織率 14.5 19.4 17.7 18.8 18.9 19.7 20.2

資料:シンガポール労働省(2017)

8.支援組織、国際産業別労組(GUFs)の活動

現地事務所設置

  • シンガポールは先進国の扱いであり、途上国を支援するサイドである。
  • 支援団体、GUFsのいくつかが、ASEANあるいはアジア統括事務所を設置している。
    ITUC-AP(国際労働組合総連合会アジア太平洋地域組織)本部事務所
  • シンガポールにはITUC-APの本部事務局が置かれている。書記長は連合参与の吉田昌哉氏。JILAFは業務の推進にあたり、ITUC-APとの連携を進めている。ITUC-APは、毎年、アジア太平洋地域の労働組合支援組織の会合(TUSSO)を開催しており、JILAFはこれに参加し、連携と情報交換を推進している。

9.労使紛争の状況

  • 労使紛争の件数は、賃金・労働条件に関するものについて、2014年は106 件、2015年は119件である。紛争は2012年をピークに減少傾向。ストライキは、1987年以降、記録なし。
  • 労使紛争がストライキを含む労働争議に入る場合には労働争議法の適用を受ける。その場合、労働組合員の過半数の同意を得る必要があるほか、つぎのような労働争議は違法である。
    ①労働争議よりほかに何らかの目的がある場合
    ②労働仲裁裁判所に係争中の労使紛争である場合
    ③社会に困難を与えることにより、政府に圧力をかけることをねらいとするもの。

10.最低賃金制度と労働・社会保障法制

最低賃金

  • シンガポールでは一般的な最低賃金制度は設けられていない。
  • 賃金は労使の交渉と合意により決定。賃金水準は政労使からなる全国賃金評議会(NWC)が毎年6月に賃金関連のガイドラインを策定し、これを踏まえて交渉が行われるのが通例である。
  • 2018/2019年度(2018年7月1日~ 2019年6月30日)について、NWCは、個別企業の状況に応じた3つのガイドラインを提示した。また低所得者の賃金引上げを重視しており、勧告対象となる基本月給の下限をこれまでの1,200シンガポール・ドル(SGD)から1,300SGDに引上げ、低所得労働者について50ー707SGDの賃上げを勧告した。具体的な数値目標を設定したのは2012年以降6年連続である。

労働・社会保障法制

  • 主な労働法制に「労働組合法」、「雇用法」(※)、「労働安全衛生法」、「退職・再雇用法」、「外国人労働者雇用法」などがある。
    (※)印の法律については国際労働財団のアジア労働法データベースに日本語訳が掲載されている。
  • 主な社会保障法制には「中央積立基金法」、「年金法」、「年金基金法」などがある。

11.JILAFの事業

  • アジアの労働条件を改善し、日本の雇用安定に資するため、シンガポールにおいて、ITUC-AP(ITUCアジア太平洋地域組織)との共催で、加盟組織の青年リーダーを対象とする「ユースリーダーシップコース」を、シンガポールのオンテンチョン研究所(シンガポール労働組合会議(NTUC)系の研究・教育団体)の後援も受け実施している。これまでに26回実施。
  • 招へい事業では、アセアンチーム、全アジアチーム、アジア英語チームなどの参加者として、これまでに17人(男性13人、女性4人)の労働組合指導者を招へいした(2017年度末現在)。